最新記事

トランプ弾劾

米下院、トランプの弾劾訴追を可決 史上3人目

2019年12月19日(木)14時15分

米下院トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案を可決した。写真はミシガン州ノバトル・クリークで演説するトランプ氏。12月18日撮影(2019年 ロイター/Leah Millis)

米下院は18日の本会議でトランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。大統領が弾劾訴追されたのは米史上3人目。社会の分断が深まる同国で、二大政党間の対立が一段と激化する見通し。

トランプ氏(73)が政敵のバイデン前副大統領に関する調査を行うよう外交を悪用してウクライナに圧力をかけた「権力乱用」の弾劾条項は賛成230、反対197で可決。議会調査への協力要請を拒否するよう政権幹部らに指示した「議会妨害」の条項は賛成229、反対198で可決された。

採決の結果はおおむね党派に沿ったものとなった。

正式な弾劾訴追を受け、トランプ氏の身内の共和党が多数派を占める上院では来月、弾劾裁判が行われる運びとなった。下院の採決が進行中、来年の大統領選で再選を目指すトランプ氏はミシガン州で遊説を行った。

共和党のマコネル上院院内総務は、上院での弾劾裁判でトランプ氏が罷免される「可能性はない」と予想している。ペロシ下院議長は採決後の記者会見で、上院に弾劾決議案を送る日程に言及しなかった。

米国の243年の歴史で弾劾裁判で罷免された大統領はいない。罷免には定数100人の上院で3分の2以上の賛成が必要で、共和党議員の20人以上が造反する必要があるが、造反を示唆している議員はいない。

トランプ氏はミシガン州での遊説で、弾劾訴追は民主党とペロシ氏にとって「不名誉の象徴」となり、2020年大統領選での民主党のパフォーマンスに影響すると指摘。「弾劾訴追されるべきなのは民主党だ」と支持者らを前に語った。

ホワイトハウスは弾劾決議案の可決を受け、上院で大統領の潔白が証明されると確信していると表明。

グリシャム報道官は「米史上で最も恥ずべき政治的出来事の1つがきょう下院でその極みに達した。共和党議員の賛成票は1票も得ることなく、不正の証拠を1つも示すことなく、民主党は違法な大統領弾劾条項を下院で可決させた」と批判する声明をした。

「大統領は下院で無視された規則性や公正さ、適正手続きが上院で復活すると確信している。大統領は次の段階への準備ができており完全に潔白を証明できると確信している」とした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、米関税の影響大きい企業と労働者を支援へ 経済

ワールド

ウクライナ、一時的な領土放棄が必要になる可能性=キ

ワールド

ミャンマー国軍、地震後の停戦期間中も攻撃継続 民間

ビジネス

野村HDの前期純利益、約2倍で過去最高 北村CFO
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考えるのはなぜか
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    欧州をなじった口でインドを絶賛...バンスの頭には中…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中