米下院、トランプの弾劾訴追を可決 史上3人目
米下院トランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案を可決した。写真はミシガン州ノバトル・クリークで演説するトランプ氏。12月18日撮影(2019年 ロイター/Leah Millis)
米下院は18日の本会議でトランプ大統領のウクライナ疑惑を巡る弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。大統領が弾劾訴追されたのは米史上3人目。社会の分断が深まる同国で、二大政党間の対立が一段と激化する見通し。
トランプ氏(73)が政敵のバイデン前副大統領に関する調査を行うよう外交を悪用してウクライナに圧力をかけた「権力乱用」の弾劾条項は賛成230、反対197で可決。議会調査への協力要請を拒否するよう政権幹部らに指示した「議会妨害」の条項は賛成229、反対198で可決された。
採決の結果はおおむね党派に沿ったものとなった。
正式な弾劾訴追を受け、トランプ氏の身内の共和党が多数派を占める上院では来月、弾劾裁判が行われる運びとなった。下院の採決が進行中、来年の大統領選で再選を目指すトランプ氏はミシガン州で遊説を行った。
共和党のマコネル上院院内総務は、上院での弾劾裁判でトランプ氏が罷免される「可能性はない」と予想している。ペロシ下院議長は採決後の記者会見で、上院に弾劾決議案を送る日程に言及しなかった。
米国の243年の歴史で弾劾裁判で罷免された大統領はいない。罷免には定数100人の上院で3分の2以上の賛成が必要で、共和党議員の20人以上が造反する必要があるが、造反を示唆している議員はいない。
トランプ氏はミシガン州での遊説で、弾劾訴追は民主党とペロシ氏にとって「不名誉の象徴」となり、2020年大統領選での民主党のパフォーマンスに影響すると指摘。「弾劾訴追されるべきなのは民主党だ」と支持者らを前に語った。
ホワイトハウスは弾劾決議案の可決を受け、上院で大統領の潔白が証明されると確信していると表明。
グリシャム報道官は「米史上で最も恥ずべき政治的出来事の1つがきょう下院でその極みに達した。共和党議員の賛成票は1票も得ることなく、不正の証拠を1つも示すことなく、民主党は違法な大統領弾劾条項を下院で可決させた」と批判する声明をした。
「大統領は下院で無視された規則性や公正さ、適正手続きが上院で復活すると確信している。大統領は次の段階への準備ができており完全に潔白を証明できると確信している」とした。