ソルリの死を無駄にはしない 韓国に拡がる悪質コメント禁止の動き
韓国のネットにはびこる悪質コメント、ソルリの死はそれを止めるきっかけになるか SBS / YouTube
<自殺率が高い韓国で、一人のアイドルの死が与えた影響とは>
今年、韓国統計庁が発表した2018年の死亡原因を見ると、韓国人の10万人当たりの「自殺率」は26.6人だった。OECD(経済協力開発機構)では加盟国の年齢構成の影響を考慮した国際比較を行っているが、この調整をした韓国の自殺率は24.7人。OECD平均11.5人の2倍を超え、前年ワーストワンだったリトアニアを抜き1位となった。これについて韓国政府は「有名人の自殺事件が多かったことが影響した」と分析している。そんななか、一人の芸能人の自殺が法律をも動かすほどの社会問題となり、注目を集めている。
10月14日、元人気女性アイドルグループf(x)のメンバーだったソルリ(本名チェ・ジンリ)が自宅で亡くなっているのを発見された。長年、ネットなどを通じて自身についての悪質な誹謗中傷に悩まされていたソルリは、自ら死を選んだのだ。
この悲報を受け、同じ事務所に所属しているアイドルらはその日、もしくは近日発表予定だった映像コンテンツの公開延期や、ショーケースの延期を発表した。男性アイドルグループSUPER JUNIORは動画配信をキャンセル、同じくアイドルグループSuperMは、その日行われる予定だった特番「superM the beginning」の収録を延期。少女時代のテヨンもニューアルバムのリリースを延期した。また、ソルリとともにf(x)に所属していたルナとエンバも、それぞれの活動中断を発表した。このように、次々と発表されるスケジュールの変更が、ソルリの自殺の衝撃の大きさを物語っている。
有名人を死へ追い詰める"指殺人"
ネットが普及し始めたころから、韓国では「悪質書き込み」による芸能人の自殺がたびたび取り沙汰されるようになってきた。キーボードを叩き書き込んだコメントによって死まで追い詰めることから「指殺人」と呼ばれ、社会問題にまで発展している。事務所が守ってくれて、相手を特定し罰することができればいいが、できない場合、もしくは書き込みがあまりにも精神に与える衝撃が大きい場合には、悲劇的な方向に向かってしまうことも多い。