香港キャセイ航空に乱気流 中国当局が抗議デモで締め付け
多方面から圧力
社員は中国の他の規制当局からの圧力も感じている。キャセイ傘下のドラゴン航空のパイロットによると、10月1日の国慶節(中国の建国記念日)を控えた先週には、中国本土の一部の空港で入国管理局が中国国旗とともに搭乗員を撮影した写真の提出を求めた。西側出身者を中心にパイロットの多くは提出を拒んだが、香港出身の搭乗員はキャセイや中国政府の目が気になり拒否できなかったという。
このパイロットは「だれもが薄氷の上を歩いているような心境だ」と述べた。
香港の抗議デモ長期化で、香港向けの旅行需要が急激に落ち込み、キャセイに対する圧力が増している面もある。
キャセイは8月に旅客数が全体で11.3%減少。パイロット2人の推計では、中国本土との運航便の大部分を担うドラゴン航空は9月の搭乗率が平均60─65%と通常の80%を下回った。これは香港でSARS(急性重症肺炎)流行した時期や、世界金融危機の際に匹敵する惨状だという。
中信銀行(CITIC)など国有企業の一部は社員にキャセイを利用しないよう通達。中国の国営メディアの報道や中国本土の消費者のソーシャルメディアを通じた情報発信も、キャセイを攻撃する内容となっている。
キャセイの運航は中国政府次第で、新たに発足した経営陣の選択肢は少ないというのが一般的な見方だ。
ドラゴン航空のパイロットは「香港企業だが雇用条件は中国本土並みになりつつある。何千もの切り傷を受けて死ぬかもしれない」と述べた。
(Jamie Freed記者)
[香港 ロイター]