20分ごとの急展開に「爆笑」する人も?...映画『教皇選挙』は「B級サスペンス」で「娯楽ミステリー」
A Surprising Papal Thriller

選挙を取り仕切るローレンス役のレイフ・ファインズほか実力派が集結 ©2024 CONCLAVE DISTRIBUTION, LLC.
<ベストセラー小説の映画化でアカデミー賞では脚色賞を受賞。野望と陰謀が渦巻くバチカンを描く『教皇選挙』は結末で賛否両論?──(3ページ以降ネタバレ解説ありレビュー)>
映画『教皇選挙(Conclave)』が描く世界をじかに体験する機会のある観客は、まずいないだろう。カトリック教会の総本山バチカンの礼拝堂に100人を超える枢機卿が閉じ籠もり、新しい教皇を投票で選ぶのだ。
ロバート・ハリス(Robert Harris)のベストセラー小説をエドワード・ベルガー(Edward Berger)監督が映画化。今年のアカデミー賞で8部門にノミネートされ脚色賞を受賞した。
教皇の急逝を受け、イギリス人のローレンス枢機卿(レイフ・ファインズ、Ralph Fiennes)はコンクラーベ(教皇選挙)を取り仕切ることになる。
選挙は儀式化され、厳格なルールにのっとって進められる。深紅の法衣をまとった枢機卿たちが世界中から集結し、選挙の重要な部分はラテン語で執り行われる。
ローレンス自身は次期教皇にアメリカ人のベリーニ枢機卿(スタンリー・トゥッチ、Stanley Tucci)を推す。ベリーニは同性婚や女性の聖職者叙任を認めることに前向きな進歩派だ。
だが本命はイタリア出身で、人種差別的な発言をまき散らす時代錯誤なテデスコ枢機卿(セルジオ・カステリット、Sergio Castellitto)。カナダ人のトランブレ(ジョン・リスゴー、John Lithgow)とナイジェリア人のアデイエミ(ルシアン・ムサマティ、Lucian Msamati)も参戦する。
さらに土壇場で、詳しい素性を誰も知らないメキシコ人のベニテス枢機卿(カルロス・ディエス、Carlos Diehz)がやって来る。
選挙では教会のトップエリートたちが火花を散らし、バチカンの壁のすぐ外でもきなくさい事件が発生する。