1カ月シャワーなし飲み水はトイレから 人権蹂躙するトランプ移民政策の実態
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米政府の監察組織はメキシコとの国境にある移民収容施設の調査報告書を公表。定員41人の部屋に88人が収容されている部屋もあった。写真はテキサス州ブラウンズビルにある施設。米国土安全保障省の監察組織が6月12日に撮影した映像から(2019年 ロイター)
米政府の監察組織は2日、危険な過密状態にあるメキシコ国境の移民収容施設が、さらに複数確認されたと発表し、テキサス州南部のリオグランデバレーにある混雑した施設内の写真を公開した。これらの施設では、一部の子どもたちがシャワーを浴びることもできず、冷えた食事のみを与えられていた。
米国土安全保障省の監察組織が作成した報告書は、この過密状態が「今にも爆発しかねない時限爆弾」のようだと指摘。施設の監督責任者らは、収容者やスタッフの健康と安全を懸念しているという。
報告書は6月中旬、リオグランデバレー地域にある税関・国境警備局(CBP)の施設5カ所を訪問してまとめられたもので、移民収容施設の管理状態への批判にトランプ政権が反論する中、公表された。
同監査組織は5月、テキサス州エルパソの施設で移民たちが規定で定められた数日ではなく、数週間にわたり拘束されていること、大人たちが立ったまま部屋に入れられていることなどを報告した。以来、移民収容施設の状況は米国内で大きな議論を巻き起こしている。
保安に関わる出来事として報告された事例の中には、収容者が部屋から出るためにトイレを詰まらせたこと、部屋に戻ることを拒否したこと、さらに税関・国境警備局が武力に訴えることを示すため、特殊作戦部隊を呼んだことなどが含まれていた。
調査員が到着すると、移民たちは部屋の窓をたたき叫んだという。成人男性のほとんどは、最長で1カ月収容されていたにも関わらず、シャワーを一度も浴びていなかった。写真に写った男性は、すし詰めの部屋で紙を掲げ、「助けて。40日ここにいる」と訴えた。
国境地帯の中でも、リオグランデバレーは拘束される移民の数が特に多い地域で、中米からの亡命希望者が殺到した5月は過去13年間で最多となった。調査員が訪問した当時、この施設は8000人を収容しており、うち3400人は規定の72時間を超過して収容されていた。