ウイグル人活動家の母親を「人質」に取る、中国の卑劣な懐柔作戦
例えばオーストラリアの外務省によれば、3人のオーストラリア人が新疆ウイグル自治区で拘束された後、釈放されたという。「オーストラリアはこの問題について公に中国を批判することなく、水面下で個別のケースについて問い合わせをしている。中国はこうしたやり方を好む」と、ジャウダトは言う。
ただし中国の対応の違いには、表面的な外交関係だけでは説明できない理由もあると指摘する専門家もいる。「中国はアメリカおよび日本との間に現在進行形の問題を抱えている」と、英ニューカッスル大学のジョアン・スミス・フィンリー講師は言う。「両国は中国のナショナリズムをかき立てる存在だから、中国はアメリカから注文をつけられるたびに、抵抗している姿勢を見せたがる」
一方、ジャウダトはウイグル系アメリカ人らから失踪した親族の情報を集め、オーストラリアのような失踪者リストを作る予定だ。国務省とホワイトハウスが直接、問い合わせをしてくれることを祈って。
<本誌2019年6月11日号掲載>
※6月11日号(6月4日発売)は「天安門事件30年:変わる中国、消せない記憶」特集。人民解放軍が人民を虐殺した悪夢から30年。アメリカに迫る大国となった中国は、これからどこへ向かうのか。独裁中国を待つ「落とし穴」をレポートする。
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