新元号「令和」の日本、転換点の景気 世界情勢が舵取り左右
昭和は金融恐慌とともにスタート
一方、慶祝ムードの足元で、注意すべき現象も見え隠れするとの指摘もある。不動産アナリストの長嶋修氏は「元号が変わるときには、世界経済が大きく変わる」とブログで発信し、国内不動産市況の先行きに警鐘を鳴らしている。
実際、平成元年(1989年)はベルリンの壁崩壊後に日経平均<.N225>が3万8000円超の史上最高値を付けたものの、翌年からバブルが崩壊。その後、「失われた20年」とも呼ばれる「デフレ」の時代に突入した。
大正から昭和への改元では、第1次世界大戦中の好景気の反動不況による後遺症が長引き、昭和2年(1927年)に金融恐慌が勃発した。
昭和5年(1930年)には、前年の世界大恐慌に続く昭和恐慌で国内経済が疲弊。経済成長の可能性を中国大陸に求めようという空気が経済界にも広がり、軍部が主導した日中戦争に対する大きな反対世論は形成されなかった。
横浜国立大学の上川孝夫名誉教授は「たまたま元号が変わる時期が世界経済の大きな変動期に重なってきた」と説明する。「明治の初めは世界的な金本位制導入期、大正から昭和への両大戦の戦間期は、世界経済の中心が英国から米国に移行する時期に重なった」とみる。
現在は「米国一極から、米国・中国・欧州など複数の極が基軸通貨などを競う時代に移行しつつあるのではないか」と予測する。
景気の現状、政局のジンクス
第2次安倍内閣が発足した平成24年(2012年)12月から始まった景気拡大期は今年1月に6年2カ月となり、政府は「戦後最長を更新した可能性が高い」との認識を示している。しかし、足元の統計では景気後退入りの可能性も浮上、3月の月例経済報告で政府は景気の総括判断を下方修正した。「令和」の時代を前に景気は転換点を迎えている可能性がある。
双日総研の吉崎氏は「明治から大正、大正から昭和、昭和から平成と元号が変わった後、4━6カ月以内に首相が交代しているジンクスもある」と指摘する。
今後、統一地方選や夏の参院選をにらんだ選挙モードに移行する中で、そのジンクスが、今回も動き出すのかどうか、まずは4月の統一地方選と衆院補選の結果に永田町関係者の注目が集まっている。