新元号「令和」の日本、転換点の景気 世界情勢が舵取り左右
新元号が「令和」に決まった。「前向きな明るい未来が展望できる」(所功・京都産業大学名誉教授)など、慶祝ムードの高まりが予測されるが、明治以降、大正、昭和、平成と改元された際には、一定のタイムラグを経て、社会的、経済的に大きな変動に直面してきた。写真は首相官邸で撮影(2019年 ロイター)
新元号が1日、「令和」に決まった。「前向きな明るい未来が展望できる」(所功・京都産業大学名誉教授)など、慶祝ムードの高まりが予測されるが、明治以降、大正、昭和、平成と改元された際には、一定のタイムラグを経て、社会的、経済的に大きな変動に直面してきた。秋に消費増税を控え、戦後最長とされる景気拡大局面に転換の兆しも見られるなか、グローバルな情勢変化が新時代の舵取りを大きく左右しそうだ。
広がるご祝儀ムード
「令和」に対する専門家の受け止め方は、概ね好評だ。京都産業大学の所名誉教授は、「万葉集から採られたのは意外な点もあるが、漢字を使って表現する日本の文化を示している。なかよく、やわらかくという意味であり、21世紀の日本、世界にとって大事な価値を示している」と述べた。
東京大学史料編纂所教授の山本博文氏は「従来の元号が政治的な理想や国家的な理想を示していたのに対し、良い感じ、雰囲気を意味する元号である点が新しい」と指摘した。
安倍晋三首相は、新元号公表後の談話の中で「一人ひとりの日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい」、「希望に満ち溢れた新しい時代を、国民の皆様と共に切り拓いていく」と、新元号に込められた意義などを説明した。
初めての元号と言われている「大化」から「令和」まで、日本の元号は合わせて248。1300年あまりの歴史の中では、天平感宝(てんぴょうかんぽう)など漢字4文字で表記する時代もあった。
改元と景気の浮き沈みに直接的な因果関係はないとされるが、「改元に伴う『ご祝儀ムード』の高まりは、日本経済にプラス面の効果をもたらす」と、双日総合研究所・チーフエコノミストの吉崎達彦氏は指摘する。
今回は、天皇陛下が4月30日に退位され、5月1日に皇太子さまが即位される「生前退位」となる。東洋大学の鈴木洋仁・研究助手は、生前退位を前に消費を刺激する『さよなら平成キャンペーン』などが広がる現状に、「ご祝儀ムードは、すでに始まっている」と話す。