最新記事

労働

年間100万円、メイドさんを雇って得た「気づき」 高い?安い? 主婦の仕事に比べたら......

2019年2月4日(月)20時00分
中野円佳 (ジャーナリスト ) *東洋経済オンラインからの転載

母国に自分の子どもを置いてきて先進国で雇用主の子どもを育てているメイドさんも多く、その葛藤が書籍や論文で多く描かれてきた。ただし、こうした議論は海外でメイドとして働くこと、あるいは雇用主がメイドを雇うことそのものを否定しているわけではなく、残された子どもが父親を含む親せきや公的サポートによりしっかり支援を受けられることや、ある程度の頻度で帰省ができることなどの必要性を指摘している。(参照:Rhacel Salazar Parreñas, 2004`The Care Crisis in the Philippines: Children and Transnational Families in the New Global Economy')

メイドさんを雇うにはマネジメント力が必要?

彼女たちは国内経済が改善しない限り職に恵まれておらず、前向きに家事労働で出稼ぎをしにきている面もある。筆者としては、この枠組みを一切使わないということではなく、個人同士が良好な関係を築くことがいちばんではないかと考えた。

できるだけ対等に公平に相手に接して、人権に最大限尊重をした雇用関係を持つ。さまざまな経験談やアドバイスも聞いていたので、大丈夫という気持ちもあったかもしれない。ところが、関係構築は理想どおりにはいかなかった。

わが家の場合、メイドさんの稼働時間は当初、朝6時半から、昼間の休憩2~3時間を挟み、夜20時まで。朝ご飯の準備に始まり、家族を送り出した後に皿洗いや掃除、食材などの買い物に行ってもらったら、午前11時ごろになる。

その後は昼ご飯をとってもらい、子どもの送り迎えが必要な時は15時頃に手伝ってもらい、夕飯の準備、片付け、子どもの寝る支度の準備などをしてもらうというスケジュールだった。

当初はよく働いてくれていたが、そのうちに稼働時間は午前中の4時間程度で、午後は夕飯の準備と片付けをするのみになっていった。彼女の手際が良くなった、子どもがスクールバスを使い始めたなどのポジティブな理由もあったが、一度フィリピンへの帰省をした後、わが家のメイドさんは明らかに仕事をさぼりはじめた。

最低限のことしかやらなくなり、こちらが何かをお願いしても、返事もせず無視することもあった。勤務時間中にフィリピンの家族とWi-Fiを使って長電話していることも増えた。もちろん、彼女にも言い分はあったかもしれないが、こちらは不満が募っていった。

こうしたすれ違いを避けるため、「ハウスルール」と呼ばれる雇用主とメイドの間のルールを設ける家庭も多い。シャワーを浴びていいのは勤務時間後、また勤務時間後の外出には門限を設け、昼間はスマートフォンを取り上げているケースも普通だ。

日々のタスクまで細かく決めている家庭もある。当初はそこまでする必要がないのではと驚いたが、チェックリストを作るくらいの枠組みのほうが感情に左右されず仕事をしてもらえただろうと今では思う。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領と電話会談を模索=米関税巡る対応で

ビジネス

独2月鉱工業受注は前月比横ばい、予想下回る 米関税

ワールド

韓国大統領罷免、6月3日選挙か 尹氏「申し訳ない」

ビジネス

イオンの25年2月期、営業減益に下方修正 物価高が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 2
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 5
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 6
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 7
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世…
  • 8
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 9
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中