最新記事

BOOKS

「パパ活」という言葉はマーケティング会議の中で生まれた

2018年11月20日(火)12時00分
印南敦史(作家、書評家)

なお、パパ活をする女性は一般的に「交際クラブ」に登録して相手を見つけるのだそうだ。


 パパ活で稼いだお金は、自己投資にも使いたいと玲香さんは意気込む。
「経験だけは奪われないので、旅行とかも行ける時は行くようにしています。勉強も含めて、自分のために使おうとメッチャ考えています。
 1000万円の貯金がある女は、それを目当てに男が寄ってくるけど、1000万円を自分に投資した女は、男から『身一つで来い』と言われる、という格言を聞いたことがあるのですが、その通りだなと思います。与えた分は返ってくると思うし。稼いだお金をホストにつぎ込む人もいますが、それは勿体ない。全部自分に使いたいです」(22~23ページより。19歳の女子大生)


 クラブで出会う男性の大半は既婚者で、独身の男性はほぼいないという。既婚者と交際することに対して、罪悪感はないのだろうか。
「罪悪感は......ないです。お会いしている方がおおむね50代だから、ということもあるかもしれません。相手の男性がまだ30代だったら、奥様に申し訳ないと感じます。女性は30からが華じゃないですか。30を超えてからいい味が出るので、その時期は奥様だけを見ていてほしい。『家族の仲は良いけれど、妻とはもう長年性生活がない』という男性の方が、お付き合いしていて楽ですね。
 交際クラブを利用している既婚男性の気持ちは......多分寂しいから、なのかな。50代くらいになると、奥さんとの性的な関係もなくなりますよね。妻以外の女性と非日常を味わいたい。でも風俗のように、ただやるだけの場所には行きたくない。一緒に食事して、それから『この後どうですか』と言えるような関係をつくりたいのではないでしょうか。
(中略)
「パパ活が流行っている理由は、需要と供給の一致です。女性は身体と時間を提供する。その見返りとして、男性はお金を提供する。もうバッチリじゃないですか」(75?76ページより。32歳のモデル)

パパ活で稼いだお金を自己投資に使いたいという意見は、ポジティブであるように思えなくもない。が、それは現実的に「女」であることを(肉体も含め)武器にして稼いだお金だ。「女性は30からが華だから、その時期は奥様だけを見ていてほしい」という考え方もごもっともかもしれないが、個人的には「アンタに言われたくない」と感じてしまう。

そんな理由があるからこそ、「恋人でも、妻でも、愛人でもない関係を」などという都合のいい考え方を前提とされると、すごく疲れてしまうのだ。

もちろん私も愛されたいと思っているし、人並みに性欲はある。でも、パパ活している女性を相手にしようなどとは思わない。むしろ、そういう人は嫌だ。自分らしさを活かしながら、日常生活の中ですれ違う女性を対象にしたいと思う。

それが男としての技量ではないかと考えるからだ。交際をする以上は嘘をつきたくないし、だからこそ、恋人でも妻でも愛人でもない「第四の関係」を求めて交際クラブのドアを叩くという男性の考えは、都合のいいものとしか思えない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中