米国株、連日の急落 市場で広がる「調整局面」突入懸念
10月10日、米国株急落を受け、投資家の間では調整局面突入を懸念する声が広がり始めた。ニューヨーク証券取引所で撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)
10日の米国株急落を受け、投資家の間では調整局面突入を懸念する声が広がり始めた。株式市場の調整局面は高値から少なくとも10%下落した場合と定義されることが多い。
一方、同日のS&P総合500種指数は、米国債利回りの上昇や米中貿易摩擦の激化を巡る懸念から、前日比3.29%下落。1日の下落率としては今年2月以降で最大となり、9月20日に更新した過去最高値からは約5.0%下がった。
ブルダーマン・アセット・マネジメントの副会長兼チーフ市場ストラテジスト、オリバー・パーシェ氏は「恐らく調整局面の始まりだ。最終的には業績次第で、大きく懸念されるのは第3・四半期決算の結果ではなく、第4・四半期と(来年)第1・四半期の業績見通しがどうなるかだ」と語った。
10日はS&P情報技術株指数<.SPLRCT>が4.77%下落し、2011年以降で最大の下げを記録した。このため近年の株高をけん引してきたハイテク部門で、調整局面に入る事態がひときわ強く心配されている。
こうした中、トランプ米大統領は遊説先のペンシルベニア州で記者団に対し、利上げを続ける米連邦準備理事会(FRB)は「狂ってしまった」と指摘。株式相場は「長く待たれていた調整だが、FRBがやっていることには賛同できない」と述べた。11月6日の中間選挙を控えたトランプ氏や与党・共和党にとってみれば、有権者の退職貯蓄を直撃する株価下落はまさに最悪のタイミングと言える。
投資家も、FRBがどこまで積極的に利上げするかはらはらしており、FRBが歴代の議長の下で運営してきた政策手法で今後も市場を下支えするかどうかに懐疑的な見方も出ている。
S&P総合500種指数は2月上旬、前月の高値から10%下落して10年にわたる強気相場が終了するとの懸念が強まったが、大規模な法人税減税の効果や景気拡大に支えられ、米国株は持ち直して9月下旬には年初来に約10%高となった。だがその後は、米長期金利の上昇と通商政策を巡る不安から、投資家は安全資産に逃避した。