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地震津波被害のスラウェシ島で火山噴火 自然災害が続くインドネシア

2018年10月3日(水)19時00分
大塚智彦(PanAsiaNews)

地震と津波に襲われたインドネシアで今度はソプタン山が噴火した。写真は2016年の噴火のようす Antara-REUTERS

<地震と津波で甚大な被害を受けたスラウェシ島で今度は火山が噴火。日本と同様の火山国のインドネシアは全国に130の火山があり、そのうち14は活火山だ>

インドネシアのスラウェシ島北部北スラウェシ州都マナドの南約50キロメートルにあるソプタン山(1830メートル)が10月3日午前8時47分(日本時間同日午前9時47分)ごろ噴火した。国家災害対策庁(BNPB)によると、噴煙は火口から上空4000メートルに達しているが、同山周辺は居住者がほとんどいない地域であることなどからこれまでのところ人的被害は報告されていない。

9月28日に中スラウェシ州の州都パル周辺を襲ったマグニチュード7.4の大規模地震と津波による犠牲者は3日の時点で1407人に達しているが、この地震の震源地とソプタン火山は約400キロメートル離れている。このため地震と火山噴火の関連性ははっきりとは分かっていないものの、BNPBはこれまでのところ火山活動と地震に間には「関係がない」との見方を示している。

BNPBでは以前からソプタン山には上から2番目の警戒警報を出していたことや周辺に集落などがないことから「人的を含めて被害の報告はこれまでのところ受けていない」と被害がないことを強調している。

インドネシアで相次ぐ火山噴火

インドネシアは日本と同様の火山国で全国に130の火山があり、そのうち14の火山が活火山である。3日のソプタン山の噴火に加えて、8月3日にはスマトラ島南とジャワ島西の間にあるスンダ海峡のアナック・カクラカタウ火山が49回連続の噴火を記録した。

このほか、世界的な観光地であるバリ島では同島東部のアグン山(3014メートル)は2017年9月に大規模な爆発を起こし、バリ国際空港が一時閉鎖されるなど観光業に打撃を与えた。アグン山はその後も2018年6月28日、7月2日、7月9日と噴火が続いている。しかし観光地や国際空港がある地域と離れていることから火口周辺への立ち入りを制限するだけで、観光業への影響を最小限に留めようとしている。

また、スマトラ島の北スマトラ州にあるシナブン山(2460メートル)は2010年に水蒸気爆発を起こし、2018年2月19日には噴火するなど活発な火山活動が続いている。

首都ジャカルタのあるジャワ島では中部ジャワ州のムラピ山(2930メートル)が2010年10月に大噴火し、火砕流で322人が犠牲となっている。その後も活動が続き2018年5月11日の噴火では火口から上空1万3000メートルまで噴煙が上がった。

7月29日に発生した地震の被害で500人以上が死亡し、今なお多数の被災者が避難所生活を続けているバリ島の東隣の観光地ロンボク島にはリンジャニ山(3726メートル)という活火山があり、モルッカ諸島にあるマララ山(1715メートル)も活火山として警戒されている。


白煙を上げて噴火するプタン山 KOMPASTV / YouTube

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