地震津波被害のスラウェシ島で火山噴火 自然災害が続くインドネシア
海外の支援、救援の受け入れ表明
こうした火山大国であるインドネシアではあるが、地震や津波に対する警戒、防災の対策はほとんどないか、あっても機能していないのが現実で、政府や関係機関の対策、対応は後手になるのが常態化している。
多くの地震、津波の被害者を出した2004年のスマトラ島沖大地震津波以降、地震津波の予知、緊急対策、防災教育などを日本などから導入、学んだ被災地アチェ州ではそれなりの体制ができているといわれるが、インドネシア全体となると、海外から導入された地震計や潮位計などの機器のメンテナンスができておらず、故障したまま、あるいは電池切れのままの状態で放置されていることが多いと日本の援助団体関係者口を揃える。
相次ぐ自然災害にジョコ・ウィドド政権は対応に苦慮している。9月30日に続いて10月3日も被災地パルを訪問して現地の状況を把握するとともに被災者の慰問も行いながら、とにかく行方不明者の捜索と同時に被災者への水、食料の配布に全力を注ぐよう政府関係機関に激を飛ばしている。
ロンボク地震の際は観光産業への影響が深刻化することへの配慮から海外からの支援を受け入れなかったとされるジョコ・ウィドド大統領だが、今回の中スラウェシ州の地震津波は海外からの救援、支援を受け入れる姿勢をすでに表明している。
これを受けて日本政府は航空自衛隊のC130輸送機などを派遣する方向で最終調整しており、インドネシア側は自衛隊機による救援物資や機材の輸送、負傷者などの輸送に期待を示している。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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