日本車メーカー、トランプが高関税や数量規制なら死活問題 日米首脳会談を注視
9月26日、日米首脳会談では、通商問題が大きなテーマとなる。国内自動車メーカーにとって、25%の高関税や輸出数量規制の発動は、経営への大きな打撃となる。写真は2010年、横浜で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
26日にニューヨークで開催される日米首脳会談では、通商問題が大きなテーマとなる。対米貿易黒字の6─7割を占める自動車・同部品を生産する国内メーカーにとって、25%の高関税や輸出数量規制の発動は、経営への大きな打撃となるだけに、緊張感を持ってその動向を見守っている。
「数量規制も困るが、追加関税だけは絶対に避けてほしい。一度発動されたら半永久的に残りかねない」──。日本車メーカー幹部は、米政府が発動を検討している高関税が実施された場合、その打撃が大きくなることを懸念する。
日本の自動車メーカーにとって、対米輸出は経営を支える大きな柱だ。2017年の日本から米国への輸出は約174万台と国内生産の約18%を占め、自動車部品を含む輸出額は5兆5000億円を超える。
現在の乗用車と自動車部品の関税は2.5%だが、米国は安全保障への影響を理由に、通商拡大法232条を適用し、最大25%の追加関税を課すかどうか政府内の手続きを進めている。追加関税が発動されれば、日本メーカーは合計で1兆円規模の負担は免れない。 武藤敏郎・大和総研名誉理事(元財務次官・元日銀副総裁)は21日、ロイターとのインタビューで、日本から米国への直接輸出、メキシコなど第三国から米国への日本ブランド車輸出、日本からの部品輸出を合わせた対米自動車関係輸出に20%の関税が課された場合、関税額は「1兆7000億―8000億円」になると指摘している。
日本メーカーとして対米輸出が最大のトヨタ自動車は、昨年の米国販売(約243.5万台)のうち、日本からの輸出が約70.9万台と3割を占める。
同社は8月の決算会見で、自動車や部品を対象に最大25%の追加関税が発動された場合、日本から米国へ輸出する完成車1台当たり平均で「6000ドル(約67万円)」のコスト上昇につながると説明。単純計算で約4700億円規模のコスト増になる。
SUBARUは米国工場がフル生産状態のため、米国販売の約半分に相当する32万台を日本からの輸出に頼っており、エンジン部品なども日本から輸出している。
日産自動車も米国に工場があるが、日本から米国へ約3万台を輸出。15年に米国生産から撤退した三菱自動車<7211.T>も米国販売はすべて輸出車だ。
マツダは、トヨタと21年稼働予定で年産30万台(トヨタ分15万台)の合弁工場を約16億ドル(1700億円)かけて米国に建設中だが、今は日本とメキシコから米国へ輸出する。
メキシコ生産は同国が合意したNAFTAの新しい条件によって、部品の現地生産比率が引き上げられ、新たな対応を強いられる。
同社はエンジンを日本とタイ、トランスミッションも日本でしか生産しておらず、新たに米国がこうした部品に25%の関税をかければ「もうお手上げだ」(同社幹部)と説明する。