最新記事

アメリカ政治

アメリカ中間選挙、民主党の上院奪還は「絵に描いた餅」か

2018年9月1日(土)12時00分

8月29日、11月に予定する米国の中間選挙において民主党が上院の過半数を奪還する可能性について、ある政治アナリストは「ほぼ不可能な道のり」と評している。他はさらに悲観的だ。写真はテキサス州の民主党上院議員候補ベト・オルーク氏。18日撮影(2018年 ロイター/Loren Elliott)

11月に実施される米国の中間選挙において民主党が上院の過半数を奪還する可能性について、ある政治アナリストは「ほぼ不可能な道のり」と評している。他はさらに悲観的だ。

可能性は低いにもかかわらず、今月シカゴに集まった同党の戦略担当者らは強気だ。トランプ米大統領の元側近をめぐる司法トラブルが深刻化し、共和党が腐敗スキャンダルに巻き込まれているため、民主党のチャンスが拡大する可能性がある、と言うのだ。

とはいえ、その道のりが険しいことに変わりはない。

11月6日の中間選挙で争われるのは、下院の435議席すべてと上院100議席のうち35、そして50州のうち36州の州知事職だ。

今回の改選で民主党が防衛すべき上院の現有議席は24で、そのうち10議席は2016年にトランプ氏が勝利を収めた州であり、一部は大差での勝利だった。上院での過半数奪還には、2議席増やす必要がある。

民主党が過半数を獲得すれば、トランプ大統領の政策アジェンダの多くを、阻止もしくは停滞させることが可能となり、政権に対する議会の監視や調査を強化することができる。将来的に、連邦最高裁にさらに空席が生じた場合でも保守派の指名を困難にする効果も生まれる。

無党派の政治アナリスト、スチュー・ローゼンバーグ氏は、民主党による上院過半数の奪還は「ほぼ不可能な道のり」だと評する。ただし、共和党が直面している逆風を考慮すれば、「上院選挙の情勢が動く可能性はある」と付け加えた。

シカゴで開催された民主党全国委員会の夏季集会でインタビューに応じた10数名の党戦略担当者や党員、そして立候補予定者らは、2014年以来失っている上院での優位を取り返すための同党の方針や戦略について語った。

注目州はどこか

民主党関係者によれば、今年、特に困難な戦いになるのはウェストバージニア、インディアナ、ノースダコタ、モンタナ、ミズーリの5州だという。いずれも2016年にトランプ氏が勝利を収めた州であり、このうち1議席でも失えば、上院奪還の展望は非常に暗くなる。

各州における世論調査の結果は、民主党に希望を与えている。ノースダコタ、インディアナ、ミズーリでは五分五分の情勢という結果が出ているためだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 9
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 10
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中