アメリカ中間選挙、民主党の上院奪還は「絵に描いた餅」か
トランプ氏が20ポイント差をつけて勝利したモンタナにおける最近の世論調査では、現職の民主党ジョン・テスター上院議員が平均5ポイント差でリードしている。また、同じくトランプ氏が40ポイント差で勝ったウェストバージニアでは、民主党のジョー・マンチン上院議員が僅差でリードしている状況だ。
「共和党にとって、最大のターゲットとなるのは、明らかにこれら5州だ」と語るのは、バージニア大学政治学センターの無党派アナリスト、ジェフリー・スキリー氏。「上院の情勢については見方が2つある。民主党にとってはひどく不利だが、その反面、議席を守るという意味では最高の年だ」
上院の選挙対策に従事している共和党担当者は、トランプ人気が引き続き高い州で再選を目指す民主党議員は頭を悩ませているはずだ、と主張する。「全国レベルで民主党が左派寄りになっていることにより、これらの州の有権者が離反する一方で、ただでさえ脆弱な現職はダメージを受けている」
フロリダ州の上院議席をめぐる争いは一部の民主党関係者を憂慮させている。世論調査によれば、現職の民主党ビル・ネルソン上院議員と、これに挑戦する共和党リック・スコット州知事の接戦となっている。フロリダ・アトランティック大学が21日に発表した世論調査の結果では、スコット氏がネルソン氏を6ポイントリードしている。
トランプ氏が勝利した州すべてで議席を死守することに必死になる一方で、民主党は、戦略担当者が重要な奪還目標として掲げるアリゾナ、ネバダ両州にも力を注いでいる。
アリゾナ州では、現職の共和党ジェフ・フレーク上院議員が引退を決めており、共和党では、3人の候補のあいだで指名を争う予備投票が28日実施され、マーサ・マクサリー下院議員が勝利した。民主党側では世論調査で優位だったカイルステン・シネマ下院議員が勝ち、女性同士の戦いとなる。
ネバダ州のディーン・ヘラー上院議員は、共和党現職のなかで最も再選が危ういと言われている。民主党の戦略担当者は、同議員が医療費負担適正化法、いわゆる「オバマケア」の一部廃止に賛成したことは、年金生活者が多く、医療へのアクセスが大きな問題になっている州において、プラスに働いていると述べている。
民主党が上院で1議席上回るためには、現有議席をすべて守ったうえで、ネバダ、アリゾナ両州を奪う必要がある。