NAFTA再交渉「カナダ抜き」の屈辱 ナイーブ過ぎたトルドー首相
Justin Trudeau Can’t Take Any More Humiliation
一連のプロセスに連邦議会が携わるという事実は、トルドーにとってかなり有利だ。トランプが大統領に選出された瞬間から、トルドーのチームはワシントンでさまざまな工作をし、アメリカの議員や企業のロビイスト、州知事の間に貿易促進派の強力なネットワークを築いてきたからだ。既に彼らの一部が、米メキシコ貿易協定やカナダに対する最後通牒に抗議し始めている。共和党のパトリック・トゥーミー上院議員はトランプに対して「トランプ政権はカナダと合意に達するべきだ」と主張、「NAFTAはそもそも3カ国の合意に基づく協定だ」と警告した。
第二に、アメリカとメキシコの合意のなかで金額的に最も大きい条項の1つは、自動車の40~45%は時給16ドル以上を稼ぐ労働者によって作られなければならない、というもの。これは低賃金のメキシコから高賃金のカナダに生産をシフトさせるもので、カナダに有利だ。
乳製品開放はカナダのためでもある
第三に、トルドーはトランプが欲しがるカードを持っている。しかもそれは、カナダ経済にとってもよい効果があるものだ。トランプの瀬戸際外交を言い訳にトルドーは、時代遅れで非効率でカナダの消費者から金を巻き上げる慣行を止めてしまえばいいのだ。
その慣行とはもちろん、カナダの乳製品カルテルだ。卵や乳製品の生産企業は、価格維持、生産割当、関税などあらゆる手段を使って消費者からお金をだまし取っている。ある研究によると、カルテルのおかげで平均的なカナダ人世帯は年間150米ドル以上を余分に乳製品に支払っている。ここ数十年、この慣行をつぶすのはどんな政権にとっても自殺行為だと言われてきた。だが今、NAFTAの存続のために支払わなければならない代償が、国産乳製品のカルテルを解体しアメリカの乳製品を買うことだと言ったら、それに反対するカナダ人はほとんどいないだろう。
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