最新記事

シリア内戦

ロシア、シリア介入で「行き詰まり」他国に資金援助求める=ボルトン米補佐官

2018年8月22日(水)19時20分

8月22日、ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、シリアのアサド政権の後ろ盾となっているロシアについて、シリア介入で「行き詰まった」状態となっており、他国がシリア復興の資金を負担することを求めているとの見解を示した。写真はロイターのインタビューに答える同大統領補佐官。エルサレムで21日撮影(2018年 ロイター/Ronen Zvulun)

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は22日、ロイターとのインタビューに応じ、シリアのアサド政権の後ろ盾となっているロシアについて、シリア介入で「行き詰まった」状態となっており、他国がシリア復興の資金を負担することを求めているとの見解を示した。

ロシアの現状は、同じくシリアの後ろ盾となっているイランに対し、米国がシリアからの軍撤退を求める好機になると語った。

また、通貨危機に陥ったトルコの情勢については、同国が拘束している米国人牧師を解放すれば、米国との危機は即座に終わる可能性があるとの見方を示した。

イスラエルを訪問中のボルトン補佐官は、シリア情勢を巡るロシアとのこれまでの協議で、アサド政権が北西部イドリブ県の反体制派に対して実施している空爆などの攻撃に理解が示されたことはないと指摘。

「われわれは軍事情勢について非常に懸念しており、イドリブでの軍事対立が激化した場合にアサド大統領が化学・生物兵器を使用することは断じて許されないと明言する」とした。

化学・生物兵器がイドリブで使用された場合の米国の対応については、「強力」なものになると述べるにとどめた。

トランプ政権はシリアに駐留する米軍の撤退を目指す構えを示してきた。ボルトン氏は、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討を完遂するとの目的やシリアに展開するイラン民兵や軍を巡る懸念があるため、駐留を継続していると説明。

ボルトン氏によると、ロシアのプーチン大統領は米側に、ロシア政府はイラン軍にシリアからの撤退を強要することはできないとの立場を示していたという。

「プーチン大統領は、自国の利益とイランの国益は完全に一致していないとも述べた」とした上で、ロシアが果たし得る役割についてロシア側と協議する意向を示した。ボルトン氏は23日にジュネーブでロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談する。

「シリアの内戦を解決するために、米国と諸外国がどのような合意をまとめられるかについて今後、見極めることになる。ただ、解決の前提条件はイラン軍の全面撤退だ」と強調した。

また、ロシアはシリア介入で「行き詰っている」ため、この問題を巡る米ロ間の協議では、米国が影響力を行使できていると指摘。「ロシアの欧州での猛烈な外交活動は、ロシアが他国にシリア復興の資金負担を求めていることを示している」との見方を示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税巡る市場の懸念後退 猶予期間設定で発動

ビジネス

米経済に「スタグフレーション」リスク=セントルイス

ビジネス

金、今年10度目の最高値更新 貿易戦争への懸念で安

ビジネス

アトランタ連銀総裁、年内0.5%利下げ予想 広範な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中