【写真特集】東京に集う単身者という「細胞」たち
CELL
KEIKO (32)/TATTOO ARTIST/TOKYO/¥3,500,000/ARAKAWA-KU, TOKYO
<東京では単身者とその世帯が都市を形作る細胞のように増殖し続ける>
都会で核家族を築いた子供と、地方に残された年老いた両親。1953年、小津安二郎は映画『東京物語』で、高度成長期へ向かうただ中で変わりつつある家族の関係性や距離感を描いた。そして30年後の83年、森田芳光が映画『家族ゲーム』で描いたのは、つながりを失っていく核家族の姿だった。
それから30年余り。社会やライフスタイルの変化を背景に未婚・晩婚化、個人化は進み、「おひとりさま」「ソロ充」の流行語を生む。20年後には、東京都区部の半数以上が単身世帯になるといわれ、ルームシェアやグループリビングなど「疑似家族」も広がりをみせる。
「核家族の時代」が過ぎ去り、「おひとりさまの時代」が到来したとき、家族の形はどうなっているのだろう。
過疎化する地方とは裏腹に、人々をのみ込み、有機体のように変化と膨張を続ける東京。かつて「親と子」が集った家々は空き家となり、独身者たちは集合住宅へと集約されていく。
冷たいコンクリートの表層の裏側で、独身者とそのすみかは都市を形作る細胞のように増殖し続ける。その姿は、人々が個人化していく巨大都市・東京の今を映し出している。
時津剛(フォトグラファー)
*写真キャプションは、名前(年齢)/職業/出身地/年収/撮影地(すべて撮影時)。東京のソニーイメージングギャラリーで開催される時津の写真展『CELL』では、東京の単身者を自室で撮影した43点が展示される(8月24日から9月6日まで)