最新記事

不敬罪

シンガポール国旗引き裂くデザインで炎上 インド人がFaceBookに投稿し警察が捜査へ

2018年8月24日(金)14時16分
大塚智彦(PanAsiaNews)

過去にはシンガポール選手の水着が物議醸す

シンガポール国旗の服や衣装への利用を巡っては2010年に中国・広州で開催されたアジア大会に出場した男子水球シンガポール選手が着用した水着が物議を醸したことがある。

シンガポール国旗は上半分が赤地で下半分が白地と分かれ、上部赤地の左側に三日月と5つの星が白抜きで描かれている。

この国旗の月と星の部分をあしらった男子の水着では三日月部分が前面中央に縦に配置されたことから「セクシー」「恥ずかしい」とシンガポールのみならず中国でも話題となった。

newsweek_20180824_141958.jpg

2010年のアジア大会で話題を呼んだシンガポール男子水球チームの水着 REUTERS - Bobby Yip

当時シンガポール情報通信芸術省は「事前に照会があれば不適切なデザインだと忠告したのだが。デザイン制作に際して政府の国旗に関する勧告を無視した結果だ」と報道声明でデザインとデザイナーを批判した。

政府の怒りを誘ったことでデザイン選定にも関わった水球チームの監督は「国旗を侮辱する意図など全くなかった」と謝罪に追い込まれた。しかし、大会規定でユニフォームのデザイン変更の締切期限を過ぎていたため、選手はこの水着で競技を続けざるを得なかったという。

この事案はシンガポール選手団という自国民が起こした問題だけにこれ以上の騒動には発展しなかった。しかし外国人がこうしたデザインの服や衣装を着用したり利用したりすれば、政府はここぞとばかり執拗にその変更や廃棄そして謝罪を求めていただろうとも言われ、シンガポール政府はさぞ苦い思いをしたといわれている。


otsuka-profile.jpg[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は大幅続伸で寄り付く、米株高や為替相場の落

ワールド

有志国、停戦後のウクライナ支援へ準備強化 20日に

ワールド

米南部や中西部で竜巻、少なくとも36人死亡 NY州

ワールド

米、デンマークなど欧州諸国にも鶏卵輸出を要請 価格
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自然の中を90分歩くだけで「うつ」が減少...おススメは朝、五感を刺激する「ウォーキング・セラピー」とは?
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴された陸上選手「私の苦痛にも配慮すべき」
  • 4
    『シンシン/SING SING』ニューズウィーク日本版独占…
  • 5
    エジプト最古のピラミッド建設に「エレベーター」が…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 8
    奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」…
  • 9
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 10
    劣化ウランの有効活用にも...世界初「ウラン蓄電池」…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 3
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 8
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 9
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 10
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中