誕生間もない惑星の姿を鮮明に捉えた画期的映像が公開された
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誕生間もない惑星の姿を鮮明に捉えた画期的映像 photo: ESO/A. Müller et al.
<ヨーロッパ南天天文台(ESO)は、誕生間もない惑星の姿を撮像することに初めて鮮明に捉えることに成功した>
英国・ドイツ・フランスを含む欧州15カ国とブラジル、チリが共同運営するヨーロッパ南天天文台(ESO)は、2018年7月2日、誕生間もない新たな惑星の画像を公開した。
チリ・パラナル天文台にある「超大型望遠鏡VLT」が捉えた
独マックス・プランク天文学研究所の研究チームが、チリ・パラナル天文台にあるESOの超大型望遠鏡(VLT)に設置された観測装置「SPHERE」を使って、地球から370光年に位置するケンタウルス座の矮星「PDS70」の周辺でとらえたもの。その成果をまとめた2本の研究論文が学術雑誌「アストロノミー・アンド・アストロフィジックス」に掲載されている。
画像中央の黒いエリアの右隣に明るい点として映っているのが「PDS 70b」と名付けられた"赤ちゃん惑星"である。
ちなみに、中央の黒いエリアは、中央天体の光を遮断してその近くにある天体を観測しやすくする観測装置「コロナグラフ」が矮星「PDS70」の強い光を遮ったことによるものだ。画像では互いに近くにあるようにみえるが、「PDS 70b」とこの矮星とはおよそ30億キロメートル離れており、その長さは太陽と天王星との距離に相当する。
木星の数倍の質量を有する巨大ガス惑星
研究チームの分析によると、「PDS 70b」は、木星の数倍の質量を有する巨大ガス惑星であり、地表温度は摂氏1000度から1600度と太陽系のどの惑星よりも高温で、現在も周囲の物質を巻き込みながら成長を続けている。また、そのスペクトルを分析したところ、「PDS 70b」の大気は雲っていることもわかっている。
一般に、星が新たに形成される際、塵や岩、ガスからなる原子惑星系円盤がその周囲を取り囲む。粒子の衝突によって惑星形成が起き、重力が次第に強くなり、物質を集めながら惑星が形づくられていくというわけだ。