全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、被害続発する事情とは
「悪魔の化身」を強壮剤として食べる
インドネシアは国民の約90%をイスラム教徒が占める。イスラム教徒にとってヘビは「悪魔の使い」「悪魔の化身」とされている。しかし一方で非イスラム教徒の間では「強壮剤」としてヘビを食す習慣がある。
2017年9月30日、スマトラ島リアウ州南部のバタンガンサル地区でヤシ油の農園を同僚と巡回中だったロバート・ナババンさん(37)は全長7.8メートルのヘビと遭遇。ヘビが好物だったナババンさん、持ち帰って食べようと麻袋を手に捕獲しようとしたところ、左腕をヘビに噛まれ切断寸前になった。居合わせた同僚が拾った棒などでヘビを殴打して殺害。ナババンさんは病院に急搬送され、一命はとりとめた。
殺されたヘビは、同僚らが持ち帰り、記念写真を撮影した後、解体してフライにされ、村人らの胃袋に収まった。
インドネシアではヘビは貴重な食物でもあるのだ。ジャカルタ市内北部の中華系インドネシア人が多く住むコタ地区にはヘビの屋台が複数ある。生きたコブラなどをその場で皮を剥ぎ、ぶつ切りにして串に刺し、焼き鳥ならぬ「焼きヘビ」として食べ、生き血は薬味と混ぜて飲む。
濃い目の独特のタレで焼き上げられた「焼きヘビ」はヘビと知らなければ、焼き鳥と大差なく、香ばしく柔らかくて結構美味しい。
インドネシアではヘビは「今、そこにある危機」として警戒が高まっている一方で、精力剤として食用にする人々も存在する。ヘビも人間も受難の時代といえようか。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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