全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、被害続発する事情とは
ニシキヘビは大きいもので体長が6~7メートルに達するが、人間を丸のみにすることは稀。通常は野生動物の山羊や野犬などを襲って、締め付けて窒息死させてからじっくりと飲み込み、体内で時間をかけて消化するという。
スラウェシ島の2件の事件はいずれも畑や農園で人間がヘビに襲われるという共通点がある。警察などによるとヘビが生息する自然環境が開発などで荒らされ、近年は猿、野犬、イノシシなどが集まる農園に餌を求めてヘビが現れはじめており、そこにたまたま居合わせた人間が襲われた可能性があるという。
舞台でヘビに噛まれ死亡した歌手も
2016年4月3日、ジャカルタ郊外のカラワンで行われたインドネシアの演歌ともいうべき「ダンドゥット」の女性歌手、イルマ・ブレさん(29)のコンサートは開始早々からノリノリだった。そして2曲目を歌っていたイルマさんが舞台にあった演出用のキングコブラの尾を誤って踏んでしまった。
驚いたコブラは反射的にイルマさんの太腿に噛みついた。コブラの調教師が解毒剤をすぐ飲むようにイルマさんに勧めたものの、ステージを重視したイルマさんはこれを拒否し、コンサートを続けた。
ところが噛まれて約45分後、イルマさんはステージでおう吐と痙攣(けいれん)を起こして倒れてしまう。病院に慌てて運ばれたもののすでに手遅れ状態でイルマさんは死亡してしまった。その様子は聴衆の携帯に記録されており、悲劇がまたたくまにインドネシアのダンドゥットファンに広がり、深い悲しみに包まれた。
イルマさんはヘビを使ったパフォーマンスをステージでよく行っており、今回も演出としてキングコブラがステージに置かれていたという。
2017年11月22日にはジャカルタ南郊のボゴールからジャカルタに向かう通勤電車の客車内の網棚に約1メートルのヘビがいるのが見つかり、乗客がパニックになる事件が発生した。
通報を受け最寄りの駅に緊急停車した車内では乗客、警備員らがしり込みする中、一人の若い男性が手づかみで尾をつかんでヘビを捕獲、頭を床に力いっぱい打ち付け、ホームに放り出し事なきを得た。その様子も乗客が携帯電話の動画で撮影し、ソーシャルネットワークにアップされた。
警察では乗客が網棚に置いた荷物からペット用のヘビが逃げたし、網棚でとぐろを巻いていたものとみている。
その昔、ジャカルタ中心部のチキニにある日本人向けカラオケ店で従業員が持ってきたヘビが逃げて店内で行方不明になる事件が起きるなど、インドネシアでは大小問わず、ペット用ヘビから野生の猛毒ヘビ、巨大ヘビまであらゆるヘビが日常の生活とは無縁ではない。