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インバウンド

日本へマレーシア人観光客が殺到する舞台裏 リピーター増加で地方にもチャンス到来

2018年4月10日(火)18時31分
野本 響子(ジャーナリスト) ※東洋経済オンラインより転載


出展者にも見られる変化

こうした消費者の嗜好に合わせ、出展者側にも変化が見られる。「以前は出展していた大阪や北海道などが出展せず、一方で知名度が低い県の出展が増えている」と話す関係者もいる。ゴールデン・ルートに代わる新しい体験を求める人々の出現で、地方にチャンスが回ってきたのだ。

マッタ・フェアではマレーシア人来訪者が日本地図をにらみながら、自作の旅程表を広げて、熱心に質問する姿がよく見られる。また、マレーシアでは以前は中華系の旅行者ばかりだったのが、最近ではマレーシアの過半数占めるムスリム(イスラム教徒)の旅行者がじわじわ増えつつある。

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「ムスリムフレンドリー」をアピールする岡山市産業観光局・観光コンベンション推進課の片岡高明副主査(筆者撮影)

その変化をとらえようとしている自治体もある。岡山市は近辺の真庭市、吉備中央町とともに「ムスリムフレンドリー岡山」を掲げて、イスラム教徒の誘致を狙う。「体験型観光」を求める外国人に向けて、自宅を改造して寿司握りの体験ツアーができる施設を作る市民も出てきた。

岡山市産業観光局・観光コンベンション推進課の片岡高明副主査は、「岡山市には世界遺産がありません。そこで、観光拠点作りと、観光客誘致を同時に始めました。なければ作ってしまおうと、外国人の嗜好に合わせた観光素材を準備しています」と意気込む。この体験型観光は、現地の旅行社から聞くマレーシア人観光客の不満点を押さえているので驚くほどだ。

インバウンドはこれからいよいよ多様化する。観光地でなかった地方にも外国人がやってくる時代がくるのかもしれない。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
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