「使い捨て文化」に戦いを挑む修理職人のネットワークが世界に広がっている
単独で活動するのではなく、修理できる人たちが集まって自分の得意分野を受け持つ、というのが修理カフェの魅力でもあるらしい。ヘンリケズさんは、「(修理は)私の趣味でもあり大好きなことでもあるけど、人が集まって互いに助け合える、集団での取り組みであるべきだ」とBBCに語った。
ベルファストの修理カフェの主催者クリスティーン・マッカートニーさんはBBCに対し、修理ボランティアには、アマチュア修理工、裁縫の専門家、元エンジニア、元教師などがいると説明。こうした人たちがスキルを持ち寄り、他の人たちとつながり助け合えるのが修理カフェであり、この動きが地域社会の精神を回復してくれるのではと期待していると話した。
修理が政治的な行為にも?
前述のガーディアンは、修理カフェに伴う難しい面も指摘する。メーカーが修理に消極的な場合もあるのだ。例えば米国の農業機械メーカー、ジョンディアは、知的財産保護を理由にユーザーが自力で修理することや独立系の修理屋に持って行くことを許していない。また、修理屋に持って行くことが許されているようなメーカーの製品でも、修理するとむしろ高くつき、もっと新しい型を買ってしまった方がいいという場合も少なくないだろう。
修理ボランティアとして活動するスチュアート・ワードさんはガーディアンに対し、自力での修理が否定されるこのような環境において、修理は政治的な行為になってしまった、と説明。それでも、「修理する権利」はその製品のオーナーにとって「基本的なもの」だと訴えている。
また、無償で修理をする修理カフェは、修理を商売としている人を邪魔するのではないか、という声も寄せられることもあるようだ。しかし修理カフェは公式サイトで、前述のように修理が高くつくことが多いため、修理カフェに来る客層は「(高いお金を出して修理するくらいなら)捨てる人たち」であるため、修理屋さんの客を奪っているということはない、と説明している。