米朝首脳会談は極めてリスクの高いギャンブル
2018年3月9日(金)15時35分
例え北朝鮮の核・ミサイル開発問題を早急に解決することがほとんど不可能であっても、ほんの数週間前まで米朝戦争が間近に迫っているかのような緊迫感であったことを考えれば、米朝会談は明るい展開だ。
しかしトランプ側にも不安のタネはある。トランプは事前に専門家の話も聞かずに会談に臨み、相手を喜ばせるようなその場限りのでまかせを言いたがる。今、鉄鋼とアルミに高関税を課そうとして世界を激怒させているのと同じトランプが、昨年11月に訪中したときには「アメリカの巨額の対中貿易赤字は中国ではなく歴代の米政権の責任だ」と言っているのがいい例だ。
米朝会談の発表前に米ABCニュースの番記者とジョークを交わしたトランプは、「(自分を)信用して欲しい」と言った。もしリスクの高いこの大きなギャンブルに勝つことができれば、トランプは間違いなく信用を得るだろう。
しかし北朝鮮にとってはここ数十年間、米朝会談に持ち込むことが外交政策上の大きな目標だった。そう考えればここまで、実際に実利を得たのは金正恩の方だ。
© 2018, Slate
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