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米中関係

米中険悪化――トランプ政権の軍事戦略で

2018年1月29日(月)11時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

これを読むと、誰もが「それは違うだろう」、「中国にそのようなことを言われたくはない」と言いたくなるだろうが、先ずは、中国が何を言っているかを客観的に見てみることにしよう。

CCTVの解説委員は

中国共産党の管轄下にある中央テレビ局CCTVもまた、数回にわたってアメリカが発表した「2018国防戦略報告」に関して特集番組を組み、激しくアメリカを非難した。

内容は国防部スポークスマンと類似しているが、できるだけ重ならないように解説委員の酷評を以下に列挙する。

一、アメリカは世界において軍事的優位に立っていたいという強い望みを持っているが、しかし中国があまりに力強く発展してきたので、心理的バランスを欠くに至り、強い焦りを感じ始めたことを、この報告書は露呈している。

二、アメリカは中国のようにウィン-ウィンの思想ではなく、ゼロサム・ゲーム的思考しかできず、相手を倒して、相手に損害を与えて、敗者を生む形でしか「アメリカが勝つ」ということができない思考に陥っている。

三、中国、ロシア、北朝鮮およびイランを長期的戦略の競争相手として一括りにしているが、これは冷戦時の思考である。これは結果的に中露の関係を強化させる働きを持ち、それは必ずアメリカにマイナスの形で跳ね返っていく。

四、アメリカは「アメリカ・ファースト」という考えに基づき、小さな利益のために関係国に圧力をかけようとしているが、中国はアメリカのプレッシャーごときで、微塵も揺らいだりしない。中国の政策を変えることはできず、中国は自らの利益を損なうような反応はしない。

「解放軍報」の論説は「インド太平洋戦略」に焦点

中国共産党の機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」の軍事ページである「環球視野」は、中国人民解放軍の軍報である「解放軍報」の論説を転載している。

長文で大きな解説図も付いており、全文をご紹介するのは困難だが、一つ、国防部のスポークスマンやCCTVの解説委員と異なるのは、「インド太平洋戦略」に関して注目している点なので、そこだけ抜き出してご紹介を試みたい。この論説には以下のように書いてある。

――2015年、オバマ政権時代にアメリカは「アジア太平洋地区海上安全戦略」の中で「アジア太平洋戦略」という考え方を提議したことがある。このたびトランプ政権は、この「アジア太平洋戦略」を正式に国家安全戦略と国防戦略の中で取り上げ、インド太平洋地区の同盟国は「一つの安全ネットワークを形成し、侵略を阻止し、全地球公域の自由進入権を確保する」ことを目指している。現在、アメリカは、「アメリカ(米)、日本(日)、オーストラリア(豪)、インド(印)」の4カ国による安全網を積極的に進めており、「アジア太平洋」から「インド太平洋」へと広げ、それによってさらに広い範囲での戦略を模索している。(以上)

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