バノン氏との出会い――中国民主化運動の流れで
夜10時にはすべてのセキュリティは解除されてしまうので、10時以降に戻ってくることはあり得ない。
後で知ったことだが、この間、NHKの取材を受けていて、NHKは「単独取材」と銘打って報道していたようだ。失意のうちに、その日は帰宅した。
再訪日するので取材したいと、バノン氏から
ところが一カ月も経たないうちに、また韓連潮博士からメールがあった。
なんと、「バノン氏が再訪日し、何としても遠藤を取材したいと言っている」とのこと。
とても現実とは思えないほど驚いた。「取材を受けてくれるか」という問いに「喜んで」と返信した。
11月18日、バノン氏が宿泊しているホテルの一室をスタジオにして、バノン氏による、まさに「単独取材」が行われた。詳細な内容は、彼の企画があるので、まだ公表できないが、彼は『チャーズ――中国建国の残火』の英語版"Japanese Girl at the Siege of Changchun How I Survived China's Wartime Atrocity"と『毛沢東 日本軍と共謀した男』の英文ダイジェスト"Mao Zedong, Founding Father of the People's Republic of China, Conspired with the Japanese Army"を熟読してくれており、それを中心に質問された。
「トランプは習近平を最も尊敬している」は本当か?
カメラが回っていない時に、筆者の方からも一つだけ質問をした。
それは今年9月20日付のコラム<バノン氏の「トランプは習近平を誰よりも尊敬している」発言に関して>で書いた内容に関してだ。二人の間では、ごく短い、以下のような会話があった。
遠藤:ブルームバーグが、あなたが講演で「トランプ米大統領は中国の習近平国家主席を世界の他のどの首脳よりも尊敬している」と書いていますが、それは本当ですか?
バノン:ああ、本当だ。間違いなくそう言った。そりゃ、安倍晋三とトランプは非常に親密だ。それも確かだが、トランプが習近平を他のどの国の指導者より尊敬しているのも確かだ。トランプは、習近平とプーチンを「強人」だと思っている。但し、個人をどう思うかということと、その国をどう思うかは全く別問題だ!
まるで世間の噂にすぎないように言われていたバノン氏の発言を、バノン氏が肉声で、筆者の前で歯切れよく断言した瞬間だった。
この事実は、今後の国際社会の方向性を分析していく上で、非常に重要だと判断する。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。