最新記事

アメリカ政治

バノン氏との出会い――中国民主化運動の流れで

2017年12月21日(木)16時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

夜10時にはすべてのセキュリティは解除されてしまうので、10時以降に戻ってくることはあり得ない。

後で知ったことだが、この間、NHKの取材を受けていて、NHKは「単独取材」と銘打って報道していたようだ。失意のうちに、その日は帰宅した。

再訪日するので取材したいと、バノン氏から

ところが一カ月も経たないうちに、また韓連潮博士からメールがあった。

なんと、「バノン氏が再訪日し、何としても遠藤を取材したいと言っている」とのこと。

とても現実とは思えないほど驚いた。「取材を受けてくれるか」という問いに「喜んで」と返信した。

11月18日、バノン氏が宿泊しているホテルの一室をスタジオにして、バノン氏による、まさに「単独取材」が行われた。詳細な内容は、彼の企画があるので、まだ公表できないが、彼は『チャーズ――中国建国の残火』の英語版"Japanese Girl at the Siege of Changchun  How I Survived China's Wartime Atrocity"と『毛沢東 日本軍と共謀した男』の英文ダイジェスト"Mao Zedong, Founding Father of the People's Republic of China, Conspired with the Japanese Army"を熟読してくれており、それを中心に質問された。

「トランプは習近平を最も尊敬している」は本当か?

カメラが回っていない時に、筆者の方からも一つだけ質問をした。

それは今年9月20日付のコラム<バノン氏の「トランプは習近平を誰よりも尊敬している」発言に関して>で書いた内容に関してだ。二人の間では、ごく短い、以下のような会話があった。

遠藤:ブルームバーグが、あなたが講演で「トランプ米大統領は中国の習近平国家主席を世界の他のどの首脳よりも尊敬している」と書いていますが、それは本当ですか?

バノン:ああ、本当だ。間違いなくそう言った。そりゃ、安倍晋三とトランプは非常に親密だ。それも確かだが、トランプが習近平を他のどの国の指導者より尊敬しているのも確かだ。トランプは、習近平とプーチンを「強人」だと思っている。但し、個人をどう思うかということと、その国をどう思うかは全く別問題だ!

まるで世間の噂にすぎないように言われていたバノン氏の発言を、バノン氏が肉声で、筆者の前で歯切れよく断言した瞬間だった。

この事実は、今後の国際社会の方向性を分析していく上で、非常に重要だと判断する。

endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港が金融犯罪の重要拠点に、米超党派議員が関係再検

ワールド

レバノン停戦合意、米仏が36時間内に発表か イスラ

ワールド

ロシアのサイバー攻撃、対ウクライナ支援を脅かさず=

ビジネス

ダウ・S&P日中最高値更新、トランプ氏の財務長官指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 3
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 4
    テイラー・スウィフトの脚は、なぜあんなに光ってい…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 7
    日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビ…
  • 8
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 9
    またトランプへの過小評価...アメリカ世論調査の解け…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中