最新記事

天体

太陽系の外からやってきたナゾの天体、宇宙人の探査機の疑いで調査へ

2017年12月14日(木)19時20分
松丸さとみ

宇宙人の探査機との声があがっている長さ約400メートルの天体「オウムアムア」 ESO/M. Kornmesser

小惑星? 宇宙人の探査機?

10月にハワイの望遠鏡で確認されたナゾの天体が、実は自然物ではなく何者かが作った物体で、宇宙人が送って来た探査機なのではないか!?との声が上がっている。

ロシアの投資家ユーリ・ミリネル氏が立ち上げた宇宙人探しのプロジェクトでスティーブン・ホーキング博士率いるブレークスルー・リッスンは11日、米ウェスト・バージニア州にあるグリーンバンク望遠鏡を使い、このナゾの物体から電波信号が発せられていないかを探る意向を明らかにした。

800px-GBT.jpg

ロバート・バード・グリーンバンク望遠鏡 wikipedia

発表文によると、巨大な恒星間天体「オウムアムア」は今年10月、地球と月の距離の85倍ほど地球から離れた場所を移動しているところを、ハワイ大学のパンスターズ計画に発見された。この距離は、天文学的な感覚では「目と鼻の先」だという。

CNNによると、当初この天体は、太陽系内を移動する小惑星か彗星だと思われていた。しかし軌道を調べたところ、どうやら太陽系外からやってきたものらしいことが分かった。となると、人類が遭遇する初めての恒星間天体となる。「オウムアムア」という名前の由来は、発見されたハワイにちなみ、ハワイ語で「遠い過去からやってきた使者」という意味だそうだ。


スカイニュースによると、オウムアムアの長さは約400メートルで幅はその10分の1程度。非常に縦長のため葉巻や針の形などと描写されている。これまで、恒星間空間を行き来する宇宙船があるとすれば、ガスや塵による摩擦や損傷を最も受けにくい葉巻や針の形のはずだと研究者たちの間で想定されてきた。これが、オウムアムアが宇宙人の探査機ではないか、とされている理由の1つでもある。

ブレークスルー・リッスンは「自然なものである可能性の方が高い」としながらも、何者かに作られた可能性も否定できないとの考えを示している。ブレークスルー・リッスンの指揮をとるカリフォルニア大学バークレー校SETI(地球外知的生命体探査)研究センターのアンドリュー・シエミオン所長は英紙インディペンデントに対し、それが自然物であれ創造物であれ、ブレークスルー・リッスンにとっては格好の研究対象だと述べた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務

ビジネス

ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中