アングル:飲み代は上昇、雇用は減少 トランプ関税で米欧の酒類業界に激震

FILE PHOTO: A customer pours a glass of Beaujolais Nouveau wine at Le Mesturet restaurant in Paris, France, November 16, 2023. REUTERS/Sarah Meyssonnier/File Photo
Emma Rumney Elisa Anzolin Sybille de La Hamaide
[ロンドン/ミラノ/パリ 3日 ロイター ] - 米国の消費者は、カクテルやシャンパン、外国産ビールの価格上昇に直面し、バーのメニューからリキュールブランドが消える可能性がある。その結果、大西洋を挟んで米国と欧州の両方で雇用が失われるだろう。飲料業界団体やアナリストは、トランプ米大統領の相互関税政策の影響をこう予測している。
トランプ大統領の最新の関税措置の対象は、イタリアのカンパリをベースにした人気のネグローニカクテルから、世界最大の蒸留酒メーカーであるディアジオが製造するギネススタウトにまで広範に及んでいる。また、すべてのビールの輸入に25%を課税し、既存のアルミニウム関税の対象にビール缶を追加したことで、メキシコ製のコロナやオランダのハイネケンのブランドが影響を受ける。しかし、メキシコ産テキーラやカナダ産ウイスキーに25%の関税を課すとの宣言は実行されなかったため、ディアジオやカンパリなど一部の酒類会社の株価は上昇した。欧州のアルコールに対する200%の関税も当面は先送りされた。
それでも業界団体によれば、米国の消費者に大きく依存しているこのセクターにとって、3日に発表された関税は深刻な影響を与えるのに十分な水準だという。
欧州の酒造メーカーでつくる業界団体スピリッツ・ヨーロッパによると、欧州の蒸留酒の米国向け輸出額は2024年だけで29億ユーロ(4770億円)に達し、この貿易が米国で多くの雇用を生み出している。
フランスの団体や当局は、主に米国と中国に輸出されるコニャックなどの産地では、売上高が20%減少し、大量解雇が発生すると警告。スペインワイン協会は、米国での売上減少は、他の市場では補えないだろうと表明した。
<勝者と敗者>
イタリア業界団体フェデルヴィーニのミカエラ・パリーニ会長は声明で、「消費地であるアメリカ現地の生産では代替できない多くの銘柄が米国の消費者の食卓から消え、イタリアと欧州には深刻な生産・雇用危機が迫っている」と述べた。
日本の飲料メーカー、サントリーホールディングスは、関税の影響の対応として、蒸留酒を生産した国での販売に注力すると述べた。
その他の大手酒類・ビール製造会社はコメントを控えたり、影響を評価中だと述べた。
金融機関UBSのアナリストらは、上場している大手酒類メーカーは関税を賄うために価格を2%から5%引き上げるか、あるいはコストを自ら負担して、その分営業利益が減少する可能性があると推定した。
米国大手酒類販売会社リパブリック・ナショナル・ディストリビューティング・カンパニーの商業金融担当上級副社長タミー・カーティス氏は、関税率が公表されたことを受け、価格に関する真剣な議論が行われていると述べた。
「勝者と敗者が生まれるだろう」と彼女は述べ、サプライチェーン全体でより多くの関税を吸収できる製品はよりうまく対応できるだろうと付け加えた。
米国ではワインやコニャックなどの製品の売り上げがすでに落ち込んでいる。フランスとスペインのワイン生産者はロイターに対し、米国の消費者は関税コストの一部を負担しなければならなくなるだろうと語った。米国ワイン貿易連盟は、これは外国のワイン業界よりも米国のワイン業界に打撃を与えるだろうと付け加えた。
<どこへも行けない>
ボルドーワイン業界団体の会長アラン・シシェル氏は、トランプ大統領の最初の任期中に試みられた、ワインを大量輸送するような関税緩和戦略は、今回の包括的な関税には役立たないだろうと述べる。
製造やその一部、例えば瓶詰め作業を移転できる生産者もいるかもしれないが、フランスのシャンパンやスコッチウィスキーのような製品は特定の国や指定された地域で製造されなければならず、生産を移転することはできない。
アイルランド・ウイスキー協会のエオイン・オ・キャセイン会長は、アイルランドのウィスキーセクターは、生産の40%を米国に輸出しており、これが成長を促進し、他の市場での拡大を支えると述べる。企業は今、特に不確実性が高まる中で、事業の焦点を他の地域に移すかもしれないと彼は続けた。
欧州はトランプ大統領が課すと脅した200%の関税を免れたが、欧州の報復措置がバーボン・ウイスキーなどの米国産酒類に及んだ場合には、それが課される可能性もある。
「もし200%まで上昇したら、ゲームオーバーだ。米国市場は終わりだ」。シャンパンメーカー、ルクレール・ブリアンのCEO、フレデリック・ザイメット氏は語った。
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