亡命の北朝鮮兵士は「ナイスガイ」 執刀医が語る人物像
11月23日、南北軍事境界線を越えて13日に韓国側に亡命した若い北朝鮮兵士は、物静かで感じが良く、北朝鮮に送還される悪夢を見ていると、兵士の主治医が語った。写真は、脱北する際に銃撃され倒れた兵士。国連軍司令部が22日公表したビデオより(2017年 ロイター)
南北軍事境界線を越えて13日に韓国側に亡命した若い北朝鮮兵士は、物静かで感じが良く、北朝鮮に送還される悪夢を見ていると、兵士の主治医が23日語った。この兵士の名前は、「オー」という名字だけが知られている。
「彼はなかなかナイスガイだ」と、24歳の兵士の手術を執刀し治療を続けているJohn Cook-Jong Lee医師は話した。脱出する際に北朝鮮兵士の銃撃を浴びて重傷を負ったオー兵士は、国際的な関心の的になっている。
国連軍が22日に公表した脱出時の映像は、オー兵士が転げるようにして国境を越え、倒れて意識を失ったところを韓国兵に引きずられて運ばれる様子を捉えている。
病院到着以来、オー兵士と話をしたのはほぼ自身1人だと、インタビューに応じたLee医師は亜洲大学病院の自室でロイターに語った。数フロア離れた病室では、韓国の特殊部隊員や情報機関員に守られたオー兵士が横になっている。
Lee医師は、兵士の病室の壁に韓国の旗を掲げ、兵士を不安にさせるような話題を避けていると話す。オー兵士は、スープのような透明な流動食を初めて口にし、笑顔を見せたり、話したりして、両手を使うことができるという。だが19日には、苦痛の叫び声を上げて目を覚ましたといい、韓国当局者による護衛に今も安心していない様子だと、Lee医師は言う。
Lee医師によると、オー兵士は高等教育を終えてすぐの17歳の時に北朝鮮軍に入隊したと明かした。オー兵士の髪型は米海兵隊員のような刈り上げで、Lee医師が「韓国海兵隊に入ったらどうだ」と冗談を言うと、笑顔を見せた後に、2度と軍隊に戻りたくないと話したという。
医療チームは、何日もかけてオー兵士の体から少なくとも銃弾4発の破片を取り除き、傷ついた内臓を縫合し、結核やB型肝炎、大量の寄生虫などの既往症を治療してきた。
「彼はなかなか頑丈な男だ」と、Lee医師は言った。
オー兵士の亡命後、北朝鮮は軍事境界線の警備にあたる兵士を全て入れ替えたようだと、韓国情報筋は23日に聯合ニュースに語った。