最新記事

アメリカ社会

アメリカ企業でセクハラが続く理由

2017年11月15日(水)16時00分
マーク・ジョセフ・スターン

このように最高裁の判断は、セクハラの被害者が泣き寝入りせざるを得ない状況をつくり出してきた。立法措置で司法の誤りを正すことは可能だが、共和党が多数を占める議会が公民権法を改正することは望み薄だ。

州法や市の条例で不備を補う方法もあり、ニューヨーク市はより厳しいセクハラ対策を企業に求める条例を制定している。しかし自治体レベルで細かな改善策を積み上げても、全米規模の問題は解決できない。

セクハラがはびこる現状は司法だけの責任ではない。法律は社会の慣行や文化と切り離せないし、アメリカの職場ではどこもかしこも性差別がまかり通っている。シリコンバレーでさえ旧態依然の「男社会」だ。

多くの企業はこうした現状に見て見ぬふりを決め込み、司法もそれを黙認している。だが企業は法律が求める以上のことをやれるはず。アメリカはセクハラ危機に見舞われている。この危機に足をすくわれたくなければ、早めに手を打つことだ。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

© 2017, Slate

[2017年11月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国当局、米工作員3人を指名手配 2月にサイバー攻

ワールド

米国の半導体関税、台湾経済部長「影響をシミュレーシ

ワールド

イランとの合意、ウラン濃縮と兵器の検証が鍵=米政権

ワールド

米財務長官がアルゼンチン大統領と会談、経済改革を評
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 10
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中