アジア歴訪で自分は人気者と勘違いしたトランプが危ない
欧州外交評議会(ECFR)の外交専門家リチャード・ゴーワンはニュース解説サイト「ヴォックス」(Vox)に対し、「トランプは、お世辞を地政学的な現実と勘違いしかねない」と語った。「アメリカ大統領には、誰もが親切にするだろう。しかしその裏では、政治的な打算を働かせていて、それこそが現実になる」
そうした策略はすでに実を結んでいる。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領自らが歌うラブソングでもてなしを受けたトランプは、ドゥテルテが推し進める「麻薬戦争」の一環である超法規的殺人(人権団体の推測によると9000人近くが犠牲になっているとされる)について、公の場では一切非難しなかった。
さらに中国では、貿易や北朝鮮問題について、トランプはこれまでの強硬姿勢から一転して態度を軟化させた。
豪シンクタンク、ローウィ国際政策研究所のリサーチフェロー、アーロン・コネリーはCNBCに対して、「他の多くの国々と同様、中国もまた、ポピュリスト的な強硬発言をさせないためには、トランプ大統領を味方に引き入れ、せっせと喜ばせるのがいいと気がついたのだ」と述べた。
トランプは、お世辞ですっかり悦に入っているようだ。彼の人気が錯覚だとしても、お世辞がもたらす効果はきわめてリアルだ。
(翻訳:ガリレオ)