カタルーニャ独立、自治権停止時のカギ握る州警察の動き
10月24日、スペイン政府がカタルーニャ州の自治権を停止する準備を進めているなか、同州の警察は「昨日までの上司」である州政府トップの排除を命じられた場合、中央政府とカタルーニャ独立の大義のいずれに従うのだろうか。写真は10日、バルセロナの地方議会前を歩く州警官(2017年 ロイター/Rafael Marchante)
スペイン政府が27日にもカタルーニャ州の自治権を停止する準備を進めているなか、同州の警察は「昨日までの上司」である州政府トップの排除を命じられた場合、中央政府とカタルーニャ独立の大義のいずれに従うのだろうか。
スペイン警察は1日、違法とみなされたカタルーニャ独立住民投票を阻止するため、警棒やゴム弾を使用したことで国際的な批判を浴びた。カタルーニャ州警察は、投票阻止の行動を拒否。この住民投票は現代スペインの憲政史上で最悪の危機を招いた。
分離独立を掲げるカタルーニャ州政府は、自治権剥奪というスペイン政府側の計画に抵抗する意志を示している。プッチダモン州首相及び自治政府を強制的に退去させるよう命令が出たとしても、分裂して士気低下しているカタルーニャ州警察、通称「Mossos d'Esquadra」(カタルーニャ語で「若者たちの部隊」を意味する)が命令に応じるかどうかは疑問視されている。
再び、国家警察が最前線に立つ可能性もある。
独立賛成派と反対派のあいだで生じた不信感によって、カタルーニャ州警察は分裂しており、国家警察の部隊とも疎遠な関係にあることが、州警察や国家警察への取材で明らかになった。
裁判所の記録によれば、カタルーニャ州警察長官は、配下の部隊が介入することなく投票の実施を許したことで反乱扇動罪の容疑で取り調べを受けており、内務省が管轄する治安警察側は長官に不利な証拠を提示している。
取材に応じた州警官5人は、総勢1万7000人の州警察は独立賛成派と反対派に分裂していると述べ、5人のうち3人は、州政府閣僚や州議会議員の権限を剥奪するための実力行使には応じないと語った。
勤続15年で独立賛成派のベテラン州警官は、匿名を条件に、「無抵抗の人々に対して、実力を行使して自分の警棒で相手を殴ることはしない」と語った。
他の多くの警察官も同じように感じていると述べつつ、同警官は次のように付け加えた。「しかし、命令には従わなければならないだろう。家族を養っていかなければならないから」
州警察の広報担当者によれば、州警察は中立であり、「いかなる政治的やイデオロギー的な基準にも」従わない、という。