春闘、トヨタなど満額回答相次ぐ 全体の賃上げ率2年連続5%超えか

3月12日、2025年の春季労使交渉(春闘)は、大手企業の多くが労働組合の要求に回答する集中回答日を迎えた。写真は日本国旗。2016年2月、都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)
Kentaro Sugiyama Kentaro Okasaka Tetsushi Kajimoto
[東京 12日 ロイター] - 2025年の春季労使交渉(春闘)は12日、主要企業の集中回答日を迎えた。相場形成のけん引役となるトヨタ自動車をはじめ満額回答が相次いでおり、全体で5%以上の賃上げ(定期昇給分含む)が今年も実現するとの見方が強まっている。
<高水準の回答相次ぐ>
今年は集中回答日に先行し、製造業ではデンソーやアイシンなどトヨタグループの大手部品メーカー、小売業ではイオングループ各社などが満額回答で妥結。序盤から賃上げの「力強いモメンタムの定着に向けた息吹を感じる」(経団連の十倉雅和会長)ものとなっている。この日も午前から高水準の回答が相次いだ。
トヨタは組合による賃上げと年間一時金(賞与)の要求に対し、賃金・賞与の総額で満額回答した。5年連続の満額回答。一律の引き上げではなく、貢献度や成果に応じた配分とする。東崇徳総務・人事本部長は「トヨタが世の中のブレーキ役になってはいけない」という思いもあったと語った。
日立製作所、富士通、NECなど電機大手は組合要求のベア1万7000円に対して満額で妥結。重工大手では、三菱重工業、川崎重工業、IHIなどが満額で回答した。
三菱電機はベア月額1万5000円で回答。要求の1万7000円は下回ったものの、査定昇給と合わせた賃上げ率は平均6.42%と過去最高水準となった。
組合要求を上回る回答も一部で出ている。三菱ケミカルはベア4.8%と、要求4%を上回る満額以上の回答。定昇を含む賃上げ率は7.01%。王将フードサービスは総額8.19%の賃上げで回答した。
一方、経営再建を急ぐ日産自動車の賃上げは月額平均1万6500円と、要求の1万8000円を下回った。ホンダは賞与が要求通りとなったが、ベアと昇給・昇格含む総額では要求を下回った。パナソニックホールディングス、日本製鉄も要求を下回る回答を示した。
電機や自動車など5つの産業別労働組合で構成する金属労協(JCM)の金子晃浩議長(自動車総連会長)はこの日の会見で、満額回答は30組合に上り、賃上げ額の平均も「2014年以降で最も高かった昨年と同等の水準を今年も獲得している」と説明。今後に続く組合も、いい流れをしっかり受け止めて賃上げを獲得してもらいたいと語った。
<物価上昇を上回る賃上げは>
ベアと定昇を合わせた賃上げ率(連合の最終集計)は、1990年代半ば以降1─2%台で動きに乏しい状態が続いていたが、23年に3.58%、24年に5.10%と高水準の賃上げを実現した。
連合が6日公表した25年春闘における賃上げ要求率(3日時点)は平均6.09%と昨年同時期の5.85%を上回り、93年以来の高水準だった。要求と妥結金額は異なるものの、物価上昇や人手不足など企業の賃上げを促した環境は変わっておらず、最終的な賃上げ率は5%台を確保できるとの見方が多い。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、人手不足と好業績を追い風に今年の賃上げ率は5.3%程度になると予想。みずほリサーチ&テクノロジーズの服部直樹シニア日本経済エコノミストも「最終的に5%台前半で落ち着くのではないか」と指摘する。
賃上げは23年、24年と加速したものの、長引くインフレの影響で実質賃金がマイナスとなることが多かった。内閣府が11日に公表した24年10─12月期の実質国内総生産(GDP)2次速報では、個人消費が1次速報の前期比0.1%増から同横ばいに引き下げられた。
経済の好循環が回転するには実質賃金がプラスで安定し個人消費が上向くかが焦点となるが、予想される5%台前半の賃上げでは「消費に対するインパクトは弱い」(明治安田総合研究所の前田和孝エコノミスト)との指摘もある。
石破茂政権は「賃上げこそ成長戦略の要」という考え方の下、中小企業や非正規雇用者の賃上げ実現を重視する。今後も続く中小企業の賃金交渉に向けて12日夕、官邸で政労使の意見交換を開く。
<連合の第1次集計に注目>
連合は妥結金額の第1次集計を14日に発表する。その結果については、日銀の追加利上げのタイミングを探る市場参加者も注目している。
みずほリサーチの服部氏は、1次集計の賃上げ率が5%台前半から半ばであれば最終的な賃上げ率もその水準で落ち着き、日銀の次の利上げは6月ごろになりそうだと指摘。5%台後半や6%に近い数字となった場合は、サービスを中心に物価上昇圧力がさらに加わることも考えられ「(利上げは)5月に前倒しという可能性も出てくる」とみている。
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