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座談会

中国政治ブロガーが指南する党大会の楽しみ方(もちろん人事予想付き)

2017年10月12日(木)19時33分
高口康太(ジャーナリスト、翻訳家)

水彩画 (途中で割り込んで)なるほど、過去に共青団出身者の出世コースがあったことは事実です。歴代トップを見ると、胡錦濤が総書記、李克強が首相になってますからね。でもそれも過去のものですよ。今はもうダメダメです。李克強の次に共青団トップを務めた周強は常務委員入りを有望視されながら、最高人民法院院長(最高裁長官)という閑職に追いやられてしまったし、その次の胡春華は広東省トップですが、大過なく職を全うするのに必死な様子。で、その次の陸昊は経済瀕死状態の黒竜江省のトップという座を与えられて成果を残すのが難しい。で、その次が先に挙げた秦宜智です。

党中央が「共青団は肥大化しすぎた、エリート養成機関の本分に戻れ」と苦言を呈したことがありました。実際に幹部も減らされた。栄華は過去のものですよ。もし団派なるものがあったとしてもそれは過去のものです。優秀な人はいるでしょうから、地方では力を借りなきゃいけないでしょうが、政治家を輩出する機関としてはもう頭打ちでしょう(と、こちらもえんえんと続く)。

――どうどうどう。お2人ほど中国政治に詳しい人同士でも、ある派閥があるのかないのかという基本的なレベルで意見が分かれるんですね(笑)。

UJC (笑)おっしゃるとおりで、中国の政治なんて分からないことだらけですよ。著名な研究者でも、2人いれば言っていることが真逆になるなんてざらにある世界ですから(笑)。

水彩画 当たるも八卦当たらぬも八卦の世界です。なので予想を的中させるかというよりも、どういうロジックで予想するかを楽しむ思考ゲームが中国政局予想の楽しみ方です。大人の遊びですよ(笑)。

UJC そうそう(笑)。その意味ではメディアが「***と分かった」とか断定口調で書いていると驚きますね。もちろんちゃんと取材はしているのでしょうが、現時点での内定がスキャンダルや老人の一声でひっくり返るのが中国政治の世界。後から外す可能性はめちゃくちゃ高いわけで。中国の政治は不透明で分からないと素直に認めるほうが誠実な気がするけどなぁ。

水彩画 そういえば、こないだ日本のY新聞が「次期常務委員リストが判明!」とかぶちあげつつ、本文をよく読むと「現時点でのリスト」であり、今後変わるかもしれないとか逃げを打っていましたね(笑)。

さて、私の常務委員予想は「習近平、李克強、韓正、趙楽際、栗戦書、汪洋」の6人。候補1人1人の評価を見て消去法で選びました。常務委員は決議の際に同票で割れないよう、必ず奇数にするという慣例があります。なので、もう1人誰かが入るはずなのですが、その候補がいなくて困っています。まあ党大会前までは時間がありますからね。もう少し考えます。

――ありがとうございました。皆さんがどのようにマニアックに楽しんでいるか、よく分かりました。

[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『現代中国経営者列伝 』(星海社新書)。

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