最新記事

人権問題

キム・ギドク監督だけでない! 韓国の女優ら、撮影現場の暴力を告発

2017年8月25日(金)07時00分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)



■韓国をはじめ各国で成人指定を受けながら500万人以上の観客動員となった「お嬢さん」 PHANTOM FILM / YouTube

近頃、韓国映画界は素晴らしい作品が多く誕生している一方で、ベットシーンや暴力シーンで過激な描写がエスカレートしている面もある。そんな中、映画「歩き王」では、撮影前にスタッフらに撮影現場におけるセクハラ防止の教育が行われ話題となった。また、日本でも3月に公開された「お嬢さん」では、オーディション公募の段階で露出のレベルを表記。その後現場などで急な変更はしないことを約束していた。

今回、キム・ギドク監督と女優Aによってさまざまな問題が浮き彫りになってきた。売名行為の疑いがかけられていた女優Aだが、いまだに名前の公表もせず、姿を現さないところをみると、当初予想された"売名目的"ではなく、純粋にこのような過酷な撮影現場の実状を告発し、明らかにしたかったのではないかという見方が広まっている。

韓国映画の現場はアグレッシブで、当日変更など当り前。出演者もスタッフも臨機応変な対応が求められる。それが韓国映画の全体から感じられる生き生きとした雰囲気につながってはいるが、性的な描写や暴力に関して人権を無視した行為を認めてはいけない。神経質になり過ぎて監督が腫れ物に触るような演出になって欲しくはないが、その為にも撮影開始前に露出の範囲や暴力シーンの演出などを事前に取り決めるのは、今後このような問題が再び起こらないようにするために必要だ。それは出演者の人権を守ることと同時に、監督らを売名行為や不名誉な言いがかりから守ることにも繋がっているのである。

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中