それでもビットコインは「カネ」になれない
ビットコイン財団のマークもこれに近い考えを持つ。彼は仮想通貨を新種のカネではなく、資産革命を起こすツールと考えている。「ビットコインとブロックチェーンのトークンは、これまで存在していなかった独特な形の資産をつくり出すもの」と言う。「極めて珍しい、少量のデータという資産だ」
実際、ブロックチェーンは現在、デジタル化された楽曲などの資産をネット上で所有する人々に、それらを管理する手段として機能している。仮想通貨の未来は、モバイルショッピングというよりは、資産管理など新しいビジネス基準の確立のほうにあるのかもしれない。
一方で、従来の株式証券と仮想通貨の取引の溝を埋める動きも進んでいる。「米証券取引委員会は、仮想通貨の取引という専門分野を確立させたい考えだ」とマークは言う。つまり仮想通貨が証券と見なされることになり、仮想通貨を使い資金調達をする企業が増えるだろう。
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専門的な分野では活躍しそうなビットコインだが、各国の通貨に取って代わることは難しい。人間同士の協調は、アルゴリズムほど簡単ではないからだ。
「カネは国家が創造したもので社会的現象にすぎない」と、マークは言う。「カネと国家を分裂させることはできない」
<本誌8月8日発売最新号掲載>
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