中国:北朝鮮ミサイル抑制は中朝軍事同盟の脅威
しかし、だからと言って、北朝鮮が「中国が北朝鮮に寛容になった」と誤解しては困る。そこで8月25日に商務部が【公告2017年第47号】を発布して、「警告を忘れるなよ」とシグナルを発信したものと思う。CCTVの解説委員らは同時に、8月10日の環球時報の米朝両国に対する警告に触れることも忘れていない。その結果、北朝鮮は中国の警告に抵触しない程度の、その範囲内での抵抗を示したと見ていいだろう。
以上は、CCTVおよび政府系メディアなどから総合的に判断した分析である。また、中国政府は言えないが、7億を越えるネットユーザーの中の「五毛党(一般のネットユーザーのふりをして、中国政府のためにネットなどで中国政府の意見を代表するコメントを書く者など)」の膨大な書き込みも判断材料の一つとした。五毛党のコメントは削除されず、繰り返されることが多いので、中国政府が書かせた意見であることは、すぐに判別できる。中国の深層に斬り込まない限り、北朝鮮問題の分析は完結しないと確信する。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。