日本の中期防衛計画、最大の敵は財政上の制約か
防衛装備の「欲しいものリスト」は膨らみ続けるが Kim Kyung-Hoon-REUTERS
<防衛能力の目標を達成するためにはGDPの2%に増やしてもまだ足りない>
自民党の安全保障調査会(会長・今津寛元防衛庁副長官)は6月、次期中期防衛力整備計画(中期防、19~23年度)に向けた提言の中間報告を決定した。最終報告は18年春までにまとめる予定だ。
中間報告の主な注目点は2つある。まず、3月に自民党が政府に提言した「敵基地反撃能力」の保有に関する検討開始を改めて求めたこと。NATO諸国が防衛支出の目安をGDPの2%としている例を「参考に」、防衛予算の適切な水準を決めるべきだとも提言している。その他の優先課題として、早期警戒衛星の独自開発、自衛隊のサイバー攻撃能力にも触れている。
自民党の提言はこれまで、日本の防衛計画に関する2つの最重要文書、「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と中期防を改定する際に議論のたたき台として機能してきた。例えば、自民党が13年6月に出した提言は、現行の防衛大綱と中期防(13年12月決定)だけでなく、安倍政権の国家安全保障政策の方向性にも大きな影響を与えた。
13年の提言は国家安全保障会議の設立、安全保障基本法の制定、防衛政策の基礎となる「国防の基本方針」に代わる「国家安全保障戦略」の策定など、安全保障政策に焦点を当てたもので、多くは既に実現している。垂直離着陸機オスプレイや強襲上陸用車両(AAV)の導入など、装備面の提言の多くは現行の中期防に組み入れられた。
今回の中間報告も重要性は高い。次期中期防に向けた改定の大枠を決めることになりそうだ。
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費用対効果が高いのは?
中間報告の背後に北朝鮮の脅威に対する懸念の高まりがあるのは間違いない。自民党内で強まっている、独自の防衛力強化を加速させようとするムードの反映という側面もある。アメリカは日本防衛へのコミットメントを繰り返し強調しているが、「取引」を好むトランプ政権の特質を考えると、アメリカの関与の持続性に対する懸念は根強くあるようだ。