カリッと香ばしいフライドポテトが消える? EUとベルギーのポテト論争
また同観光相は食政策委員にあてて「ほかの国には異なる文化があると理解しています。しかし、私たちには私たちの文化的伝統があります。もしEUがこれを禁ずるなら酷いことです」と嘆願したと、テレグラフやガーディアンが報じている。
委員会側は躍起になってこれを否定。代表者たちが「委員会にはベルギーのフライ、またはどんなフライでも、禁止する意図はありません、繰り返します、禁止する意図はありません」、あるいは「だれにもジャガイモの下茹でを強制しはしません。温度が175℃以下ならジャガイモを好きにしてかまいません」などと答弁している。EU本拠地であるベルギーが(存在感を高めようと)政治ゲームをしているのではないかと示唆する者もいる(テレグラフ)。
ガーディアンはさらに、「傷に侮辱を加える」として、新規約の草案に「フレンチ・フライ」という表記が用いられていることを指摘。アメリカや世界の一部で一般的な呼称だが、これは第二次世界大戦中にベルギーのフランス語圏ではじめてフライドポテトを食べたアメリカの軍人たちが誤った呼称を考え出したためと言われている。
子供へのリスクがもっとも高い
結局、下茹では「可能ならしたほうがいい」程度の提案で、飲食業者に温度などそのほかのガイドラインを徹底して守らせることでアクリルアミドを減少させる方向で収まったわけだが、喜んでばかりもいられない。伝統的な製法と味が守られたとしても、リスクがあることには変わりない。ガーディアンによると、欧州食品安全機関(EFSA)は子供へのリスクがもっとも高いと警告しているという。
欧州では日本の「お子様ランチ」や「お弁当」のように子供のために品目の多い食事を提供する風習があまりなく、レストランでの子供メニューといえばフライドポテトを添えたスナックが一般的だ。小さな子供にフライドポテトのみをまるまる一皿食べさせる親も珍しくない。
飲食業者からの反発もある。ベルギーと同じくフライドポテトの消費量の多いドイツでも今回の決定が報じられているが、厳しい温度調整や、「黄金色」以上の暗い色はダメ、10分以内に消費、などの細かい「フライドポテト信号」のルールは「極端で不必要で官僚的」だと、ホテルや飲食業界が顔をしかめているという。一方で、欧州消費者連盟(BEUC)は今回の決定を大事な最初の一歩とみなしている(WELT)。
新規約は2018年早春に施行される見込み。
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