日本の人口減で中小企業が事業再編 M&A仲介に商機
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2月17日、中小企業の合併・買収(M&A)仲介会社が旺盛な需要に支えられている。写真は都内で昨年7月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
中小企業の合併・買収(M&A)仲介会社が旺盛な需要に支えられている。縮小する国内市場で、M&Aを通じて成長を目指す企業が増えているほか、後継者のいない事業主が自社を譲渡するケースが増えているためだ。地方銀行などとの連携も功を奏し、大手証券がターゲットとしない顧客層にアクセスを増やしている。
「日本では人口が急速に減少するため、会社はこれからは単独では成長することができない」──。M&A仲介会社、日本M&Aセンター<2127.T>の分林保弘会長はこう話し、日本企業の再編の必要性を強調する。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口は2060年までに2010年比で3割減少する見通し。こうした人口動態を背景に、中小企業のM&Aを専門に扱う仲介会社は、そろってニーズ拡大を指摘する。
分林会長は、これからの中小企業は「グループ企業にならないと海外市場にも出ていけない。1社単独で生き残れない。これが日本の時代の流れで、M&A市場はますます拡大する」と話す。
経済の屋台骨、後継者不足
中小企業白書によると、日本の労働人口の7割は中小企業に雇用され、国内に380万ある企業のうち99.7%は中小企業で、経済の屋台骨となっている。 しかし、後継者不足などを背景にその将来が危ぶまれている。東京商工リサーチによると昨年は休廃業・廃業をした企業が2万9583社と前年比8.2%増加し、過去最高だった。
これを商機とみた日本M&Aセンターの業績は最高益を更新し、1月末に発表した4─12月期の連結決算は増収増益。同社が9カ月間で扱ったM&Aの案件数は406件と、今年度は前年度の420件を超える勢い。2月6日には今期の業績予想を上方修正した。同社の株価は過去1年で約41%上昇した。
同業の仲介会社も
ストライク <6196.T>、M&Aキャピタルパートナーズ <6080.T>など、M&A仲介の同業他社も似たような恩恵を受けている。両社が昨年度に成立させたM&Aの案件数は計106件と、前年比34%増加。ストライクの荒井邦彦社長は、小規模のM&A仲介は大手証券会社が取り扱わない「空白地帯になっており、われわれのビジネスはそこにうまくはめ込んだ形」という。