トランプ政権、北朝鮮ミサイル発射の制裁に手詰まり感
ある政府高官の話では、トランプ氏や側近は(1)新たな金融制裁(2)空海軍戦力の増強(3)朝鮮半島内および周辺における合同演習の拡大(4)韓国の新型ミサイル防衛システム導入加速──を今後検討する公算が大きい。
トランプ氏は中国が北朝鮮の核開発にブレーキをかける上で十分な影響力を行使してないとの考えも明らかにしており、先の政府高官はトランプ氏が中国への働き掛けを強めるとの見通しをロイターに語った。もっとも、北朝鮮政治体制の不安定化を避けることが国益にかなう中国は、特に制裁実施において一定程度以上は踏み込まないだろうという。
制裁という点ではトランプ政権が前政権よりも積極的になって、北朝鮮の兵器開発を支援する企業や団体(その多くが中国勢)までを制裁対象に含めるかどうかは分からない。
またトランプ氏が中国の習近平国家主席とこのほど行った電話会談で「1つの中国」の原則を受け入れたことで、北朝鮮問題に関する中国側の協力拡大を引き出せるかどうかもはっきりしない。
こうした中で米ロビー団体「ミサイル防衛擁護同盟(MDAA)」の創設者リキ・エリソン氏は、トランプ政権が韓国と日本のミサイル防衛を迅速に強化すべきだと主張。オバマ前政権が既に土台をほぼ整えているこの取り組みを、速やかに実行する必要があると訴えた。
もっとも米国と韓国が年内の配備に同意している高高度ミサイル防衛システム「THAAD」については、中国が自国の安全保障を脅かすとして強く反対している。
(Matt Spetalnick記者)
[ワシントン 12日 ロイター]