ウクライナ戦闘激化で試されるトランプ──NATOもEUも捨ててロシアにつくのか?
ロシアの脅威に直面するなか、今後のアメリカの出方を怪しむのは、ウクライナの国民だけではない。アメリカとドイツの戦車は、NATOの数千人規模の大隊とともにバルト3国(いずれもNATO加盟国)に進駐し、ロシアが軍事活動を活発化させる可能性に備え、同盟国の心の拠り所になっている。だがトランプが規模を縮小するのはいつでも可能だ。
トランプは選挙戦中、ヨーロッパ諸国における米軍駐留を激しく非難し、NATO加盟国は自国の防衛に対して相応の費用を負担するべきだと主張した。アメリカが東欧4カ国に展開する4000人規模の兵士と戦車90台は、アメリカが34億ドルを拠出する「ヨーロッパ安心供与イニシアティブ」が負担する。その資金拠出を、トランプとミック・マルバニー次期行政管理予算局局長が停止する可能性もある。マルバニーは、米軍の海外駐留費をカットすることで財政赤字の拡大を抑制したいからだ。
万一そうすれば、「アメリカとヨーロッパとの連帯に重大な亀裂を生じる」とバーシュボウは警告した。
「ロシアにとっては願ってもない話だ。ブルガリアやチェコなどの旧東欧諸国にもうアメリカは頼りにならないからと言って、仲間に引き入れようとするだろう」