ニュース速報
ワールド

米政権、保健機関職員の解雇開始 厚生省1万人削減計画で

2025年04月02日(水)07時26分

トランプ米政権は、疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)など、米保健福祉省(HHS)所管の保健機関の職員を解雇した。写真はビルの外に立つHHS職員たち。ワシントンDCで1日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

Leah Douglas Marisa Taylor

[1日 ロイター] - トランプ米政権は1日、疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)など、米厚生省(HHS)所管の保健機関の職員を一斉に解雇した。事情に詳しい関係筋や保健当局者が明らかにした。

当局のオフィスでは、解雇通告からわずか数時間で職場への立ち入りを警備員に止められたり、警備員に解雇を伝えられるケースも起きているという。

厚生省は先月27日、ケネディ厚生長官による同省の大規模改革の一環として、約1万人のフルタイム職員を削減し、地域事務所の半分を閉鎖すると発表していた。

また今回の削減は、トランプ大統領と米実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」が進める連邦省庁の人員削減に向けた広範な計画の一環とされる。

ケネディ氏は「職を失った人々に心を痛めている。しかし現実は明らかだ。われわれがしてきたことはうまくいっていない」とⅩに投稿し、厚生省を慢性疾患の予防という中核的使命に集中させるためには今回の改革が必要だと強調した。

だが、公衆衛生、がん研究、ワクチンや医薬品の承認を監督するトップ科学者の解雇も含まれており、進行中のはしかの流行や鳥インフルエンザの蔓延といった公衆衛生上の緊急事態に米国がどのように対応できるのか、懸念が高まっている。

今回、FDAのたばこ製品部門責任者のブライアン・キング氏が解雇されたことがロイターが確認した電子メールで明らかになったほか、事情に詳しい情報筋の話からFDA新薬部門責任者のピーター・スタイン氏が1日に辞任したことが明らかになった。

このほか職員の退職も相次いでおり、製品審査を担当する職員の間では人員不足のため期限に間に合わせるのに苦労しているとの声も聞かれているという。

FDAのロバート・カリフ前長官はソーシャルメディアに「われわれが知っているようなFDAは終わり、体系だった知識を持ち、製品開発と安全性に深い理解を持つリーダーの大半はもはや雇われていない」と投稿。「歴史はこれを大きな過ちと見なすだろう」と書いた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マスク氏、近く政権離脱か トランプ氏が側近に明かす

ビジネス

欧州のインフレ低下、米関税措置で妨げられず=仏中銀

ワールド

米NSC報道官、ウォルツ補佐官を擁護 公務でのGメ

ワールド

トランプ政権、輸入缶ビールに25%関税賦課 アルミ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中