米政権、保健機関職員の解雇開始 厚生省1万人削減計画で

トランプ米政権は、疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)など、米保健福祉省(HHS)所管の保健機関の職員を解雇した。写真はビルの外に立つHHS職員たち。ワシントンDCで1日撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)
Leah Douglas Marisa Taylor
[1日 ロイター] - トランプ米政権は1日、疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)、国立衛生研究所(NIH)など、米厚生省(HHS)所管の保健機関の職員を一斉に解雇した。事情に詳しい関係筋や保健当局者が明らかにした。
当局のオフィスでは、解雇通告からわずか数時間で職場への立ち入りを警備員に止められたり、警備員に解雇を伝えられるケースも起きているという。
厚生省は先月27日、ケネディ厚生長官による同省の大規模改革の一環として、約1万人のフルタイム職員を削減し、地域事務所の半分を閉鎖すると発表していた。
また今回の削減は、トランプ大統領と米実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」が進める連邦省庁の人員削減に向けた広範な計画の一環とされる。
ケネディ氏は「職を失った人々に心を痛めている。しかし現実は明らかだ。われわれがしてきたことはうまくいっていない」とⅩに投稿し、厚生省を慢性疾患の予防という中核的使命に集中させるためには今回の改革が必要だと強調した。
だが、公衆衛生、がん研究、ワクチンや医薬品の承認を監督するトップ科学者の解雇も含まれており、進行中のはしかの流行や鳥インフルエンザの蔓延といった公衆衛生上の緊急事態に米国がどのように対応できるのか、懸念が高まっている。
今回、FDAのたばこ製品部門責任者のブライアン・キング氏が解雇されたことがロイターが確認した電子メールで明らかになったほか、事情に詳しい情報筋の話からFDA新薬部門責任者のピーター・スタイン氏が1日に辞任したことが明らかになった。
このほか職員の退職も相次いでおり、製品審査を担当する職員の間では人員不足のため期限に間に合わせるのに苦労しているとの声も聞かれているという。
FDAのロバート・カリフ前長官はソーシャルメディアに「われわれが知っているようなFDAは終わり、体系だった知識を持ち、製品開発と安全性に深い理解を持つリーダーの大半はもはや雇われていない」と投稿。「歴史はこれを大きな過ちと見なすだろう」と書いた。