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ウクライナ戦闘激化で試されるトランプ──NATOもEUも捨ててロシアにつくのか?

2017年2月2日(木)21時00分
ポール・マクリーリー

ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は水曜、ウクライナ東部の戦闘激化はロシアの挑発だと思うかと質問され、「ウクライナ情勢を引き続き見守っている」と答えた。それより前に米国務省はウクライナにおける停戦合意違反を非難する声明を出したが、ロシアに言及することは慎重に避けた。

国連安全保障理事会は火曜、ウクライナ東部の「危険な情勢悪化」に対し「重大な懸念」を表明。政府軍と親ロ派双方に攻撃の中止を呼び掛けた。

ロシアには親ロ派を牽制してミンスク合意を守らせる気はないと、前出の国防総省高官はみる。「すべて緻密に計算し尽くされた動きだ。ウクライナで流血の惨事が続いていれば、(ロシアは)いずれウクライナ情勢と政治に首を突っ込み、自国の衛星国にできる」

ヨーロッパがもっと団結し、アメリカと強固な結びつきがあった時期でさえ、欧米諸国にとってウクライナ問題に立ち向かうのは十分に困難だった。

分断された欧米

元CIA長官のデービッド・ペトレイアスは水曜、米上院軍事委員会の公聴会で証言し、プーチンの思惑についてこう述べた。「軍事行動が上手くいけば、ロシアはわずかでも領土を得られると踏んでいる。だがプーチンが本当に重きを置いているのは、民主主義を掲げる大国に、NATOやEUのような同盟の枠組みを守る政治的な意思があるかどうかを見極めることだ」

だがEUとアメリカにはナショナリズムや分断の波が到来し、足並みを揃えて対応するのが難しくなっている。ウクライナ紛争は、内にも外にも危機を抱えたアメリカと欧州諸国が「いかに協力して問題に対処するかを試すテスト」だと、米シンクタンク戦争研究所のフランクリン・ホーカムは語った。

主な争点は、2014年のウクライナ侵攻とクリミア編入を受けて、アメリカとEUがロシアに課した経済制裁をめぐる対応だ。もしトランプが選挙戦中に示唆した通りにアメリカが対ロ制裁を解除することになれば、EUの制裁決議も崩壊する可能性が高い。その結果、プーチンに外交と経済上の勝利がもたらされる。

トランプ政権の高官は今のところ、従来のアメリカの姿勢を踏襲と発言している。ニッキー・ヘイリー米新国連大使は月曜、国連本部で初の表敬訪問を行い、イスラエル、イギリス、フランスに加え、ウクライナの国連大使とも会談した。国連アメリカ代表部の発表によると、会談でヘイリーは、アメリカが「ウクライナの主権と領土保全を支持する」ことを再確認したという。

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