米2月求人件数、19万件減少 関税懸念で労働需要抑制

米労働省が1日発表した2月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が19万4000件減少し756万8000件になった。2024年10月、カリフォルニア州サンディエゴで撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)
[ワシントン 1日 ロイター] - 米労働省が1日発表した2月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が19万4000件減少し756万8000件になった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は761万件だった。関税による経済への不透明感が高まり、労働需要が抑制された。
1月分は前回発表の774万件からわずかに上方修正され、776万2000件となった。
2月の求人率は4.5%と、前月の4.7%から低下した。
業種別では、小売で12万6000件、卸売で5万6000件減少。金融、医療・社会支援、宿泊・飲食サービス、製造でも減少した。
一方、連邦政府は6000件増加。トランプ政権が歳出削減策の一環として政府職員の採用を凍結しているにもかかわらず増加した。
解雇件数は11万6000件増加したが、依然として低水準の179万件だった。解雇は小売と専門・ビジネスサービスに集中。連邦政府は1万8000件増加した。
採用率は3カ月連続で3.4%だった。
離職件数は6万1000件減の319万5000件。離職率は横ばいの2.0%。不安定な景気見通しを背景に採用活動が低調になる中、働く人の転職意欲は低下している。
ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンの企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は、労働市場は経済を荒波から守る「防波堤」の役割を果たし続けていると指摘。「防波堤は緩やかに侵食されているものの、景気後退の兆しになるような亀裂は入っていない」と述べた。ただ、トランプ米政権が掲げる関税措置による影響に米国の消費者と企業がどのように耐えるかが焦点になるとの見方を示した。
トランプ大統領は1月20日に就任して以来、鉄鋼やアルミニウム、輸入車などに対する一連の関税を発表している。エコノミストらは輸入関税がインフレを招くほか、関税による価格上昇やサプライチェーンの混乱が人員削減につながる可能性があると警告している。
トランプ政権による政府規模の大幅縮小策の一環として行われた連邦職員の採用凍結と大量解雇も労働市場に急ブレーキをかけると予想される。