トランプの不法移民対策、みずから「壁」にぶち当たる可能性
子どものいる家族のための収容所が不足しているということは、大半がホンジュラスやグアテマラやエルサルバドルから貧困と暴力を逃れるためやってきた移民たちが、電子機器の足輪を着けられ、審理日を告げられて釈放されることを意味している。
多くが亡命申請をするが、手続きには5年、あるいはそれ以上かかることもあると移民弁護士は指摘する。亡命申請をしなくても、移民裁判所での審理を経て送還されるまでには何年も要する可能性がある。
トランプ大統領はオバマ前大統領の下で行われていた、一時的に移民を収容するために米軍基地を利用するという政策を拡大するかもしれない。また、既存の他の施設を改修する方法を探る可能性もある。
カーネスとディリーにあるような収容所を新たに建設するのは時間がかかるだけでなく、施設内の生活環境を懸念する人権派弁護士によって訴訟を起こされるのが常である。
トランプ大統領はまた、自国から最初に亡命申請を行う中央アメリカ出身の移民希望者の数を増やすというオバマ前大統領の政策を拡大しようとする可能性がある。
長期的には、メキシコから申請できるよう同国に要請することもあり得るが、メキシコ国境沿いに建設する壁の費用を同国に払わせるとトランプ大統領が宣言したせいで、2国間関係は現在かなり悪化している。
移民を保護している団体の責任者であるガルシア氏は、もしトランプ大統領が家族向けの収容所を数千カ所開設することに最終的に成功するならば、移民の流入ペースは減速するだろうと認めている。
「閉じ込められて飛行機に乗せられる可能性が高くなったといううわさが広まるだろう」とガルシア氏。中央アメリカ出身者は通常、飛行機で本国に送還される。
「自首」が増加
米当局に「自首」する移民の数はテキサス州マッカレン周辺で最も多い一方、とりわけメキシコと国境を接するエルパソで急増しているのが目立つ。ここでは、昨年10─12月に捕らえられた移民の6割は子どもか家族だった。
近年、移民の流入がそれほど多かったわけではなかったエルパソだが、昨年10─12月には5200家族が捕らえられた。これは前年同期と比べて3倍近く増加したことになる。また、保護者を伴わない子どもの移民は1972人に上り、倍増している。