病院の設計次第で患者の回復が早くなる?
意思疎通の改善に役立つ
テキサス州ダラスのパークランド・メモリアル病院で実施された調査では、看護師は勤務時間の3分の1以上、医師は半分近く、コンピューターに向かっていた。診察室でコンピューターを使うと、患者と話す時間が大幅に減ることも分かった。
ペンシルベニア州のレディング病院では、ワークステーションを分散させて病室2室につき1カ所設置することにした。ワークステーションで医師や看護師がコンピューターに向かっているときも、ベッドにいる患者から彼らの姿が見え、話し声が聞こえる設計になっている。
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医師・看護師と患者のコミュニケーションがうまくいけば、回復が早まることも分かっている。ヘルス・アフェアーズ誌に掲載された論文によると、3万2000人の成人の患者を対象に2年間にわたって行われた調査で、治療方針を決定する際に患者の参加の度合いが強いと、「13の健康指標のうち9つで」治療効果の改善につながった。
ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに掲載された論文も、医師と患者がじっくり話し合い、患者の意思が尊重されれば「多くのメリットがもたらされる」と論じている。
ワークステーションの分散は、意思疎通の改善に向けた一歩となる。医療改革でどの立場を取る人も、病院の設計見直しには文句を言わないだろう。
[2017年1月10日号掲載]